PGAツアー「ファーマーズインシュランスオープン」で、2020年初戦にして9位タイと好調なプレーを見せたタイガー・ウッズのスウィングを、プロゴルファー・中村修が分析した。

気持ちシャット目に上げてスクェアなトップから球を操る

先週末開催された「ファーマーズインシュランスオープン」。タイガー・ウッズは最終日にパットを決めきれず優勝争いには食い込めませんでしたが、2020年初戦を9位タイと好調なスタートを切りました。

画像: 2020年初戦のファーマーズインシュランスオープンで9位タイと好調のタイガー・ウッズ

2020年初戦のファーマーズインシュランスオープンで9位タイと好調のタイガー・ウッズ

今大会のスウィングを見る限り体の状態は非常に良さそうでしたし、クラブ契約先のテーラーメイドのニュークラブ「SIM」もさっそく実戦投入してこの成績ですから、かなり仕上がっていることが分かります。今回は、そんなタイガーのスウィングを改めておさらいしてみましょう。

写真Aのバックスウィングはワイド(手が体から遠い)かつ、ほんの気持ちシャット目(フェースを開かず)に上げていきます。ハーフウェイバックではだいたい背骨とフェース面が平行になりますから、ほぼスクェアなポジションに収まっています。また、下半身は止めず、上半身と一緒に回転していきます。

画像: 写真A:ワイドなバックスウィング。フェース面はほんの気持ちシャット目

写真A:ワイドなバックスウィング。フェース面はほんの気持ちシャット目

トップ(写真B)は、後方から見たとき、両肩がつくるラインと左腕が重なっているのがわかります。体がしっかり回っていることでもあるし、アップライトでも、フラットでもない、お手本通りのポジションで、このポジションにクラブが上がるからこそ、スクェアでフェースをコントロールすることに長け球筋を自在にコントロールできるんだなあと改めて感心してしまうほどお手本です。

トップでのフェースの向きはおよそ45度くらいで、シャットではなくスクェアな状態です。これも、ダウンスウィング時にフェースターンの度合いをコントロールすることで、ドローやフェード、球の高低などを変幻自在に操っていきたい、というタイガーの意図が感じられますよね。

画像: 写真B:トップ位置でのフェース面はだいたい45度くらいで、スクェアな形

写真B:トップ位置でのフェース面はだいたい45度くらいで、スクェアな形

トップ位置から沈み込みながらダウンスウィングに入るのですが、注目したいのが右ひじが右腰の前に入ってきている点です(写真C)。力感こそありますが、まるでクラブが自然に落下するのに任せているようなダウンで、この一枚の写真からは、この時点でタイガーはまだ“打ちに行っていない”印象を受けます。

このポジションから地面反力を使って脚を伸ばし、体の左サイドをターンさせることでインパクトを迎えるわけですが、まるで嵐の前の静けさのようなダウンスウィングです。

画像: 写真C:ダウンスウィングでは腰よりも右ひじのほうが先行している

写真C:ダウンスウィングでは腰よりも右ひじのほうが先行している

さて、タイガーのヘッドが一気に加速するのはインパクト付近(写真D)。切り返しで沈み込んだ両足を伸ばしながら、左サイドを後ろ側へ引く動きでスピードを上げてインパクト、そのままフィニッシュまで振り抜いていきます。

画像: (写真D)インパクト付近で、切り返しで沈み込んだ足を伸ばしながら左サイドを後ろへ引く動きでヘッドを加速させている

(写真D)インパクト付近で、切り返しで沈み込んだ足を伸ばしながら左サイドを後ろへ引く動きでヘッドを加速させている

バックスウィングでは頭が多少右足方向に動き、インパクトでは頭の位置が多少上がっていることからも、体に無理のないスウィングをしていることがわかります。今のタイガーにとっては、このスウィングが4日間を戦う上でもっとも高いパフォーマンスを発揮できるのでしょう。

現代のドライバーにマッチし、飛距離とコントロール性両方が出せる、さすがタイガーというスウィングです。

タイガーはオリンピックゴルフランキング6位、米国選手の4番手に位置していて、現状出場資格獲得圏内に身を置いていますが、まだまだ油断はできません。が、現在の年齢に合わせたスウィングを確立し、ニュークラブにも対応。ボールコントロールも健在で、どれもかなりの仕上がっていますので、このまま出場資格を得て、ぜひ東京五輪に出場してほしいですね。

撮影/姉崎正

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