ジュニア時代は名だたる大会で好成績を収めた
今回、紹介するのは「近いうちに大化けするかも?」という予感のする選手です。アクシャイ・バティア、21歳のインド系アメリカ人です。今季は2部のコーンフェリーツアーが主戦場でしたが、同ツアーが1カ月ほど休みに入った3月、プエルトリコオープンに推薦出場。ここで2位に入り、スペシャルテンポラリー(ST)メンバーシップを手にしました。
18年、AJGA(全米ジュニアゴルフ協会)のプレーヤー・オブ・ザ・イヤーに輝き、またジュニアライダーカップ、同プレジデンツカップをはじめ、ジュニア時代には名だたる大会で好成績を収めた有名な選手でした。その勢いで19年、17歳でプロ転向します。
ただアメリカでは、高校時代にどんなに優秀な選手でも、大学に進学しない選手は将来を不安視されたり、ときに「すぐにプロで通用するほど甘い世界ではない」と、批判的な見方をされる傾向にあります。
王道はやはり大学に進み、なかでもスゴい選手はタイトルを獲得して中退という感じ。タイガー・ウッズは2年、ジョーダン・スピースは1年、22年の全米オープンを制したマシュー・フィッツパトリックにいたっては、わずか1学期で中退です。ちなみにマスターズの翌週のRBCヘリテージは、スピースとフィッツパトリックの"中退組"のプレーオフで、フィッツパトリックがPGAツアー2勝目を挙げました。
もちろんケビン・ナやトニー・フィナウのように、高卒で大成した選手もいます。ただ、2人に共通するのは時間がかかったこと。ナについていえば「大学に行っておけば……」という旨の発言も聞かれました。実際、PGAでは大学同窓の結び付きは強く、人脈や情報に限らず、一緒に戦った選手時代の思い出も含め、有形無形にプラスになることが多いようです。
バティアは黙っていても脚光を浴びるタイプだ
それはともかく今回、バティアが獲得したテンポラリーメンバーについて。まずPGAでは125位までがシード選手で、150位までの選手には条件付きのシード権が与えられます。そしてノンメンバーが、この150位のラインを超えるとスペシャルテンポラリーになれるのです。通常、ノンメンバーは最大7試合の推薦出場しか認められませんが、同メンバーになると出場制限が外されます。
バティアの知名度、アマチュア時代の戦績から、かなりの数に出場できるはず。しかも、この早い時期での獲得。昨年はコーンフェリーの開幕戦で優勝もしており、着実に力もついてきました。今年はPGAで勝つかもしれません。そうすれば晴れてメンバーになります。
今季はLIVゴルフに移籍した選手によって150位のラインが下がってきました。他にもR・ジェラードやN・ホイガードもSTメンバーに。この後も同メンバーを獲得する選手がほかにも出る可能性は十分あります。
話題も豊富でメディア受けもいい。彼女はTickTok の世界では有名な美人で、付き合ったきっかけは、SNSのダイレクトメールでの”ナンパ”だったとか。185㎝の高身長ながら、体重は59㎏というスレンダーなバティアの体は、彼女よりも細いそう。ホンダクラシックでは、なぜか上半身裸になって、池からウォーターショットを放っていました(笑)。
プレーも含めて黙っていても脚光を浴びるタイプ。ぜひ注目してほしいですね。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年5月23日号「うの目 たかの目 さとうの目」より