穴井詩、今季最長307ヤード。
パラダイム♦♦♦×テンセイCK PROオレンジ
今年から約7年ぶりに石井雄二コーチとタッグを組んだ穴井詩。すでに2勝と結果を残しているが、その石井コーチがクラブのセッティングも担当している。
「男子プロもそうですが、ヘッドスピードのある選手はクラブが重いと振り遅れることがあります。そこで穴井プロもヘッド重量を186グラムととにかく軽く、バランスも小さくして振り抜きを重視」
「パラダイム♦♦♦は、ライ角がフラットなため、ロフトとライ角はノーマルのままです。一時期、思ったようにスピードが上がらなくて、球も上がらなかったためシャフトのフレックスを5Xにしたら、距離は出るのですが、トルクが大きくシャフトがねじれてしまい、アイアンへのつながりも良くありませんでした」
超軽量&極軽バランスで振り抜きやすさを重視
「そこでリゾートトラストから6Sに戻したところ、アイアンやアプローチも感覚が戻ったようです。昨年と比べて本人的には飛んでいない気がしているようですが、球がねじれなくなった分、ランで真っすぐ転がるので、トータルの飛距離は落ちていません。その代わりフェアウェイキープ率が上がり、正確性が増しています」(石井コーチ)
神谷そら、今季最長303ヤード。
ヤマハRMX VD×ベンタスブラック
元々、神谷そらは持ち球が高弾道のため、風の強かったリゾートトラストレディスでは、低スピンで弾道を抑えるセッティングで臨んだという神谷。
ヤマハのツアー担当者によると、「ヘッドスピードが45~46m/sある選手なので、飛距離が出る分かなり曲がることも。そこでコントロール性を重視して、シャフトを短くしています」
方向性重視の短尺仕様、グリップのバックラインは必須
「バランスを出すためにヘッドに鉛を貼って重くし、フェース側に貼ることで浅重心にして弾道を抑えて、カウンターバランスとしてシャフトの根元にも鉛を貼っています。鉛は体調などで頻繁に変えています。シャフトはコントロール性を上げるため、しっかりめの5X」
「年間を通して戦うために、試合では抑えて振ってはいるものの、若い選手なのでそのあたりの調整がまだ上手くない。シャフトを硬くすることで、自分でコントロールしやすくなっています。どんなクラブでも打ててしまう器用な選手ですが、グリップはバックラインがないと感覚が変わってしまって打てないので、必ず同じようにバックラインが来るようにクラブを組んでいます」
竹田麗央、今季最長298ヤード。
スリクソンZX7 MKⅡ LS×ツアーAD UB
竹田麗央は、市販されていないスリクソンZX7 MkⅡ LSドライバーを使用する。スリクソンのプロ担当に聞いた。
「竹田プロは高い弾道を好まないため、低スピンの強弾道仕様の調整です。シャフトは硬めの5Xを挿しているのは、スウィング中にシャフトが暴れないようにするためで、コントロール性を重視した結果です。そのほうが自分の感覚で振っていけるようです」
「竹田プロがクラブを選ぶ際、計測データも比較しますが、それ以上に自分の感性を大事にします。ZX5 MkⅡやZX5 MkⅡ LSも試しましたが、ZX7 MkⅡLSが見た目に彼女の好みに合っていて、さらに打感が軟らかく感じたようで、決め手になりました」
感覚第一に打感や音にこだわって、ZX7 MkⅡLS
「打球音は高いものよりも、低い音が好み。打球音もある程度は調整することができるので、そのあたりも加味して組み合わせを決めました。彼女は女子プロには珍しく、自分で鉛を貼ったりして試す選手なんです」
「試合ごとに小さな鉛を貼ったり剥がしたりして、その日のコンディションに合わせて使っているようです」
穴井、神谷、竹田、3選手のドライバーまとめ
3選手とも、アマチュア男性の平均値を超える44~46m/sのヘッドスピードが飛距離の原動力だが、ショットの精度を高めるために、穴井詩は徹底的にパラダイム♦♦♦のヘッドを軽量化。ヘッドのスクリューウェイトは、通常モデルが前方2グラム、後方14グラムに対して、穴井の♦♦♦は前方4グラム、後方4グラムと合計8グラムも軽くしている。さらに軽めのCバランス仕上げで振り抜きやすさを追求。
神谷そらは、スウィングを見てわかる通り、体使いがかなりダイナミックで、打点と球のバラつきを抑えることが課題。そこを考慮して広反発のRMX VDヘッドに安定感の高いベンタスブラックのXシャフトを44.5インチまで短くしつつ、スピン量をさらに減らす方向でヘッドを重くしている。
竹田麗央も、神谷に近いチューニング。ロースピン仕様(ZX7 MkⅡ LS)のヘッドと暴れにくいシャフトフレックスXを組み合わせている。スピードが上がるほど、同じブレでも曲がり幅は大きくなるので、自分のスウィングやフィーリングに合ったカスタマイズは必須。その好例がこの3選手のドライバーだろう。(パート2へつづく)
※週刊ゴルフダイジェスト2023年6月20日号より(PHOTO/Shinji Osawa、Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa THANKS/リゾートトラストレディス)