ロシアによるウクライナ侵攻を契機に急激な円安が進み、エネルギー価格が急上昇。ゴルフ場の経営も圧迫されて、航空会社が導入している燃料サーチャージを導入したという次第だ。業界紙のゴルフ特信によれば、最初に導入したのは京都府南丹市のるり渓ゴルフクラブ。昨年4月に「原油価格の高騰で現行プレー料金を維持するため、同チャージを1人55円(税込み)お願いします」と実施。同年8月には88円に改定し、さらに今年4月には99円となっている。
広島県の呉カントリークラブでも、200円の同チャージを実施。関東では栃木県さくら市のセブンハンドレッドクラブが今年10月から、「1人あたり101円頂きます」との案内を出した。千葉県の一の宮カントリー倶楽部では7月から99円のサーチャージを開始している。同CCの経緯を石野明彦副支配人に聞いた。
「一番の理由は電気料金の高騰です。200ボルト充電の乗用カートが約80台、それが毎日ですので。さらに今年は猛暑対策で、クラブハウスのエアコンはフル回転。水道代の値上げも響いています。千葉県の外房エリアは雨が少なく、コース植栽への散水に水道は必須です。お客様の99円ご負担は非常に助かります。会員の方々からは『徴収は当然。私たちの遊び場を整備してもらっているのだから』と理解を頂いています。徴収金は、その時々の状況で変動になると思います」
これらの情勢をゴルフ場経営コンサルタントの菊地英樹氏は、「上がっているのは燃料費、電気代、水道代だけでなく、食材費、人件費も。だからゴルフ場経営も深刻です。徴収することは賛成ですが、燃料サーチャージという名目は疑問ですね。燃料費だけが上がっているわけではないのですから。項目をきちんと挙げたほうが、ゴルファーの理解ももっと深まると思います」。物価高騰の波はゴルフ場にも。世界情勢の早期平和を願わずにいられない。
※週刊ゴルフダイジェスト2023年8月15日より