今年5月に行われた「RKB × 三井松島レディス」で国内女子ツアー史上初の双子プレーオフが実現。そのプレーオフで、岩井明愛・千怜姉妹が18番パー5のセカンドショットで放った「直ドラ」が当時話題になった。ドライバーは14本のなかでもっとも飛距離を出せるクラブではあるが、そもそも地面から打つ想定で設計されてはいないため直ドラをした場合、ダフリなどのミスが出やすい傾向はある。
直ドラを有効活用する、岩井姉妹・菅沼菜々・青木瀬令奈
しかし、最近の女子ツアーでは、岩井姉妹以外にも、先日、初優勝を飾った菅沼菜々、実力者の青木瀬令奈など直ドラを多用する選手が一定数いる。さらに岩井千怜は、海外メジャーに参戦の際、「直ドラで狙っていけるならバンバン狙っていきたいし、アグレッシブなゴルフをする選手なんだというふうに見てもらいたい」とも語っており、特別なショットではない位置づけになってきていることがわかる。
当然、直ドラは飛距離を稼ぐために行うのだが、青木瀬令奈の見方は少し違う。「打点位置の確認のため、練習の仕上げに直ドラを取り入れてます。直ドラはシビアなショットが要求されますから、スウィングが整っているかチェックするのにいい方法だと思っています」。直ドラは、距離を稼ぐだけでなくスウィング作りにも大いに役立つショットと言えそうだ。
スウィングの再現性が高まった結果、飛び出す
女子プロだけでなく直ドラの使い手として、男子プロのなかで有名なのが池村寛世だ。実は彼に直ドラを伝授したのは横峯さくらだった。「(横峯)さくら姉さんから打ち方を教わりましたが、頻繁に口にしていたのが、‟直ドラは調子のバロメーター”ということ。つまり良いスウィングをしていたら直ドラでもきっちり当たるということです。スウィングが悪くなると当たらなくなるので、そのジャッジを直ドラでできるということです」
直ドラを取り入れることの効果を池村は次のように話す。「軸ブレやちょっとした体重移動によるスウェイでもミスヒットになるので、芯でとらえて飛ばすためのスウィングチェックができます。また、ボールが地面にあるので、フェース面が正しく戻っているかも確認しやすいので、正しいスウィングプレ―ンと振り遅れなどを防ぐ、再現性を高める練習に効果的です」。直ドラは曲がらないけれど飛ばないイメージがあるが、そんなことは全くなく、むしろ飛ばしの要素が詰まっているようだ。
打点の違いはティーの高さぶん。真ん中下目が正解
ここで実地検証として登場してもらったのが、直ドラで300ヤードを飛ばす新木豊プロと、新木プロのレッスンを受けているゴルフ歴5年の永尾隆文さん。ダフリのミスが多い永尾さんに新木プロが施したレッスンが、まさに今回のテーマである直ドラ! 新木プロ自身も直ドラのスウィング矯正能力の高さに着目して、今や試合でもティーショットで直ドラを多用しているという。