松山英樹の21年マスターズ優勝をサポートした目澤秀憲に、レッスン技術に造詣が深いライターDが、最新スウィング理論について話を聞いていく連載「みんなのスウィング3.0」。今回は「日米のコーチングの違い」について考えた。
画像: コリン・モリカワ(写真)のコーチ、ブラックバーンが"NO1コーチ"に選ばれた。すべてを1人で担当するのではなく、分業制によるチームコーチングで指導するスタイルだ

コリン・モリカワ(写真)のコーチ、ブラックバーンが"NO1コーチ"に選ばれた。すべてを1人で担当するのではなく、分業制によるチームコーチングで指導するスタイルだ

日本とアメリカの差はコーチングの差なのか?

D 米ゴルフダイジェスト誌が選ぶ、「ベストティーチャーズ in アメリカ」の最新版で、マーク・ブラックバーンが1位になりました。彼はTPIインストラクターのひとりですから、目澤さんとも面識があるんじゃないですか?

目澤 はい、ツアー会場でいつも顔を合わせてました。昨年の「ZOZOチャンピオンシップ」の少し前にコリン・モリカワと契約して、それですぐコリンが優勝するとか、契約するプロがみんな活躍するので、今、すごく注目されているコーチなんです。

D 他の契約プロでいうと、マックス・ホーマが「ファーマーズインシュランスオープン」、ジャスティン・ローズが「AT&Tペブルビーチプロアマ」で優勝。あと、デービス・ライリーも「チューリッヒクラシック」で優勝しています。確かに、実績がすごいですね。何か、彼のコーチングに秘密があるんでしょうか。

目澤 トラックマンやギアーズを使って、データに基づいたアドバイスをしているのはもちろんですが、それでも足りない部分については、その分野の専門家に任せて「チーム体制」でサポートしている印象ですね。たとえば、コリンにはステファン・スウィーニーというパッティングコーチをわざわざ紹介して、パッティングについては全面的に任せていたりするんです。

D 分業制ということですよね。合理主義のアメリカ人らしいやり方ですけど、それって自分の「取り分」を減らすことにもつながるので、もしかしたら、やりたがらない人もいるかもしれない。

目澤 そうなんです。でも、マークは気にしない(笑)。それより、クライアントの利益優先ということですよね。だからこそ、ベストティーチャーに選ばれるんだと思いますけど。

D アメリカでは、ビジネスの場面でも専門知識を持ったチームで当たるのは一般的なので、彼らからしたら普通のことかもしれない。それに、PGAツアーのバジェット(賞金額)が、もう天井知らずだからできるという側面もあります。

目澤 それは間違いないです。

D 日本もいずれはそうなっていくでしょうか。

目澤 日本は伝統的に「師匠」と「弟子」みたいな文化があって、コーチもある種の「先生」というふうに、プレーヤーの側から見られることが多いんです。

D つまり、本当に必要な技術の指導だけでなく、戦略だとかメンタルだとか体のケアだとか、専門外の分野についてもトータルで指導することを「期待される」ということですよね。それはそれで、コーチの負担が重すぎる気がします。もちろん、全部のプレーヤーがそうではないかもしれませんが。

目澤 まあ、そういう側面は確かにありますね。たとえばの話なんですけど、Aという選手がいて、本人がやりたいスウィングをするためには、フィットネス的に足りない部分があるとするじゃないですか。そのときに、こっちが信頼できるトレーナーを紹介できて、「3カ月頑張ってきて」って感じで送り出すことができて、3カ月後に戻ってきたときにちゃんと体が変わっていれば、スウィングを変えるのも楽だし、本人も結果が出るから満足というサイクルができますよね。ゆくゆくはそういう形を目指したいとは思っていますけどね。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年1月30日号「みんなのスウィング3.0 Vol11」より

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