番手の大きいクラブで行うアプローチショットが本番を楽にさせる
伊澤塾の経験から秀憲は「本番が簡単に感じられるように、普段の練習で難しいことにチャレンジすること」が重要だと話し、当時から現在に至るまで行っている練習方法があると言う。それは“番手の大きいクラブで行うアプローチショット“だ。
普段はサンドウェッジを使うような場面で、ロフトが立っているクラブでボールのスピードを緩め、球を高く上げて、スピンをかけて止めるサンドウェッジのような球を打つという練習だ。これはベアグラウンドでのサンドウェッジ練習で、球にスピンをかけられるようになった次のステップとして行っていた練習方法だった。
「僕であれば8番や9番でサンドウェッジのように止められるかをやっています」。例えば普段アプローチで使う番手が56度だとしたら、まずは54度や52度といったひとつ上のクラブで行う。56度と同じようにスピンの掛け方やボールを止めることができたら、今度はPWで打つといったように徐々にロフトが立ったクラブでチャレンジする。
ロフトが立ったクラブでサンドウェッジのように高く、スピンが入ったボールを打てるようになると、サンドウェッジでさらにボールを止めやすくなる
ロフトが立っているクラブでボールスピードのコントロールや高さの出し方、スピンのかけ方がわかると、「番手を戻して打ったときにもっと簡単に止められる」ようになる。ボールにスピンをかける打ち方を覚えたら、その次のステップは自分が苦手な状況を想定して同じように番手を上げてアプローチをする。
この練習で重要なポイントは「ちゃんとシビアな状況で、グリーンにボールを止めなければいけないシチュエーションを想定する」ことだと秀憲は言う。
例えば練習場でやる場合なら“仮想砲台グリーン“を作り、傾斜や打ち上げる角度、硬さやグリーンの速さなど、自分で想像して行う。「この難しい状況を想定して練習を行うことで、本番を迎えた時に、焦らず冷静に対処できるようになります」。
難しい環境を想定しロフトが立ったクラブで止められるように、練習を積み重ねることでコースが楽に感じるようになる
普段の練習から難しい状況をイメージして取り組めば、本番で直面した時も精神的に楽に臨めるというわけだ。これが伊澤塾の日々のベアグラウンド練習から編み出した、秀憲流の本番に強くなる練習法だった。
【プロフィール】
伊澤秀憲(いざわひでのり)/1991年6月生まれ。神奈川県出身。叔父伊澤利光の父であり、祖父の利夫氏に2歳からゴルフの英才教育をうけながら、ジュニア時代は同世代の松山英樹、石川遼らとしのぎを削ってきた。YouTubeチャンネル「アンダーパーゴルフ倶楽部」にてショートゲームを中心とした動画を配信中!
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