元ボクサーの視点 町田祐基
LOL GOLF主宰。大学時代にゴルフを始める。ゴルフ場の研修生を経て35歳でティーチングA級取得。塾講師(英語)、実用英語技能検定1級、調理師免許など、多彩な経験や資格を持つ
「視覚機能を整え安定したパフォーマンスに」
多彩な経歴を持つ町田。ボクシングから“目の使い方”が大事だと考えるようになったという。
「研修生時代にアプローチイップスになったんです。どんどんひどくなり、25歳のとき一度ゴルフから離れようとボクシングを始め、9年間やって、最後の年に東京都で6位(ライトウェルター級)になれました。ボクシングでは相手も自分も動くので、見えないものが見えてきた。それまではボールをきちんと見てアプローチしていたのが、ボールを見ないで打つようにするとだんだん体が動くようになってきたんです」(町田・以下同)
ゴルフのティーチングの世界に入り、知識を深めるようになった。
「感覚情報の入力のなかで、視覚は87%というデータがあります。僕もいろいろと勉強するようになりました」
「まずは利き目をしる。視覚は感覚入力の87%です」
両手で三角形を作る、手を伸ばし、両目で三角の隙間から対象物を見る。右目と左目、交互に開眼し、隙間から対象物が両目と同じようにみえるほうが優位眼、いわゆる”利き目“となる
今回の発表は、利き目の話だ。ゴルフでは利き目を利用してプレーすることもよく提唱されるが、「利き目に頼りすぎると、アドレスや打ち出し方向に問題が起こります。視覚には、視野の視覚座標、体には正中線を基準とした身体座標が存在し、このギャップが空間認識をゆがませるのです」と町田はきっぱり言い切る。
確かに、パッティングのアドレスを見ると。ずいぶん違うのがわかる。
「利き目に依存するとアドレスもブレるんです」
本人は意識せずとも違いが出る。「プロたちはよく、片目をつぶって目標を定めています。的
を絞るだけなら利き目を使ってもいいですが、アドレスの動作からは依存しないほうがいい」と町田。
「最初はフェースを目標方向に直角に合わせるのが大前提。その後ボディアライメントを作る。利き目に依存するとこれがズレてしまうんです。ショットでもアマチュアは右を向くクセがある方も多いですが、それを『左を向いて! 』と直そうとすると気持ち悪くてしょうがないので、根本的な解決にはならない。利き目の依存でそうなっている可能性があることを認識したほうがいい」
もちろん、まずは自分の利き目を知ることは大事だ。
「知ったうえで依存すると運動機能にも偏りが出ます。たとえばテニスであればフォアハンドは得意だけどバックハンドは苦手、などデメリットが出てくる。ゴルフのパッティングであれば、『動きやすく構えているのになぜ動きにくいのだろう』となり、思うようにストロークができなくなります。話は多少飛びますが、発達障害もこれに関係するとアメリカの論文にあるんです」
距離が違う目標物を置き、そこにモノを投げる。「人間は左足が軸足。自然に立って、距離を変えながら投げる。両目でとらえたものを脳で考えて体へ、というチームワークを作ります」
エイムポイント公認インストラクターでもある町田。「姿勢制御って、日本人は目を使うことが多い。欧米人は足の裏の感覚です。このようなデータもありますから、皆がエイムポイントをそのまま取り入れればいいというわけでもないんですね」
“利き目依存”は、トレーニングで改善できるという。
「自分は見えているという考えを見直しましょう。そして、利き目ではなく、両目を使う意識を持つこと。まず、いいアドレスになります。ゴルフはそこからですよね。広く視野を保つことで、アドレスだけでなく、ストロークや打ち出し角度も安定させることができる。当然、心にも余裕ができてくるんです」
トレーニングで両眼を使えるようにしよう!
ボールペンの先を両目で見て、遠くから近くに持ってきて寄せる。この動きを左右上下、斜めで
行う「顔の向きを変えずにどこまで見えるか。視界のトレーニングになります」
※週刊ゴルフダイジェスト5月28日号「多様な教えに上達ヒントありPGAティーチングプロアワードファイナリストのレッスン」から一部抜粋
THANKS/花山ゴルフセンター
提供/PGA