テレビアニメ「オーイ! とんぼ」で「イガイガ」こと五十嵐一賀役を演じた声優の東地宏樹さんにインタビュー。実はベストスコアが75という東地さんに、ゴルフ遍歴や「とんぼ」の魅力などを聞いた。【全3回中2回目】

「とんぼ」は「あしたのジョー」に似ている

GD 東地さんは野球アニメ「ダイヤのA」で片岡鉄心監督の役をやられています。イガイガも、とんぼを教え導くコーチ的な存在ですが、役作りをするうえで、前の役柄からの流れみたいなものがあるのか、それとも全く別で、イガイガには独自のパーソナリティを作るのでしょうか?

東地 イガイガの場合はスポーツものの流れというよりは、お父さんのような感覚で役作りをしています。イガイガは子育てに失敗した過去があって、とんぼと出会うことによって、すべてをやり直していく。アニメの第9話で、泣きながら、自分の過去の過ちをとんぼに打ち明けるシーンがありますが、人間はいつからでもやり直せるんだよっていうことが作品のテーマの1つになっていると思っています。だからイガイガは、大人びた感じは出さずに、とんぼと同じ目線から、物事を素直にさらけ出せるようなキャラクターをイメージして演じています。あとは、天才に出会って圧倒されている状態。3番アイアン1本で球を操るというとんぼの才能に圧倒される感じも意識しています。

画像: 五十嵐が自分の過去をとんぼに打ち明けたシーン(「オーイ! とんぼ」第42話より)

五十嵐が自分の過去をとんぼに打ち明けたシーン(「オーイ! とんぼ」第42話より)

GD とんぼも、イガイガと出会うことで、つらい過去を克服して、前に進んでいくことを決意するようになりました。

東地 さりげなく描かれているけど、とんぼの境遇は相当きついですし、今日のアフレコ(最終話)でゴンじいが回想するシーンがあったけど、ゴンじいとの関係というのは本当に救われたと思いますよ。最近こういうアニメがなくて、転生ものとか近未来のものとかが多いんだけど、「とんぼ」を見ると昔のアニメを思い出す人も多いと思う。老若男女を問わずたくさんの人に見てもらいたい良いアニメだと思います。

GD SNSなどで、「とんぼ」がゴルフダイジェストの連載でなければもっと有名になっていた、というような書き込みもありました(笑)。

東地 でも、アフレコのときにもみんなと話したんですけど、役者仲間との飲みの席で「俺イガイガやってるんだ」って言うと「えっ!」っていう反応になって盛り上がるんですよ。やっぱり僕ぐらいの年代は、ゴルフダイジェストで「とんぼ」を読んでいる人が多いんですよ。

画像: 「飲み屋で『とんぼ』の話をすると盛り上がります」

「飲み屋で『とんぼ』の話をすると盛り上がります」

GD 飲み屋ならゴルダイも影響力があるかもしれません(笑)。

東地 先輩の声優さんからも「えっ、お前イガイガやるの!? 俺やりたかったよ」って言われることが多いんですよ。その年代の人たちはあまり漫画雑誌を買わないでしょうから、そのへんの影響力はゴルフダイジェストならではじゃないですかね。

GD まさにイガイガ目線で共感してもらいやすいのかもしれませんね。

東地 ゴルフ専門誌としての描写ももちろんですが、人間ドラマとしても深いのが「とんぼ」の魅力だと思います。

GD ちなみにゴルフ漫画でほかに好きな作品はありますか?

東地 「あした天気になあれ」とか「プロゴルファー猿」はひととおり見ています。

GD 漫画はけっこう読まれるんですね。

東地 大学に入ってから一切読まなくなりましたけど、昔は少年漫画は全部買って読んでいました。僕は「あしたのジョー」が大好きで、「とんぼ」の単行本は42巻まで読んだんですけど、あしたのジョーに出てくるライバルのようなキャラクターが出てくるんですよね。家庭環境とかいろんなものを背負っていて、戦った時にお互い何かを感じ合えるようなライバルなんです。僕が「とんぼ」を好きなのは、そういった部分であしたのジョーに似てるからということも理由のひとつなんですよ。

GD 40巻以上読んでくださっているとは……。

東地 読んでますよ。でもね、なかなか進まないんですよ。年末から、初回のアフレコ収録までに一気に30巻読んだんだけど、へとへとになっちゃって(笑)。解説が多くて、それも全部読んじゃうから。

GD たしかに……とくにイガイガの解説はすごく細かいですよね。

東地 そうなんです。技術だけでなく、選手の心理とか今のシチュエーションとか、ちゃんと説明してくれるから、とても面白いんだけど、一気読みはツライ(笑)。ゴルフダイジェストの連載を毎週読むぐらいがちょうどいいのかもしれません。

つづく

撮影/三木崇徳
ヘアメイク/長島光希(air)

東地宏樹さんへのインタビュー、第1回目はこちらから

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