一心不乱にクラブを振り続けていた学生時代から、大人になりゴルフ以外の物事から何か吸収できないかと秀憲は視野を広げていた。振り返っていくとクラブを握っていない時にゴルフの上達に繋がるヒントが転がっていた。幼少期の掃除の時間のひとコマ、小学生の時に触れたとあるスポーツ……、秀憲の好奇心と遊び心から導いた少し変わったゴルフ上達法に迫った。

身の回りにゴルフ上達のヒントは転がっている

「先に倒れた方が負けな!」

「オッケー、ちゃんと手を広げたままだぞ」

「なになに。俺もやる!」

掃除の時間に小さな勝負が繰り広げられようとしていた。参加者は5人。掃除ロッカーからホウキを取り出した。ルールは手の指をピンと伸ばし、手のひらの上にホウキを直立させて、倒れることなく最後の1人になった者が勝者となる。各選手が真剣な眼差しでホウキが安定するポジションを探っている。

「いくぞ……。よーい、スタート!!」

審判の合図とともに一斉に手を離し、手のひらの上にホウキが垂直に立った。十秒経過するとユラユラと揺れ始める者が出てきた。

「あぶねっ!」

大きく傾き始め、それを立て直すべく、足を動かした。また他の子は左右に揺れ始めるともう片方の手を翼のように広げながら、上手く両ひざを曲げてバランスを保った。

「くそ~、また負けた」

5本あった内の4本が倒れ、1本だけが悠然と手のひらの上で天に向いていた。栄えある勝者は秀憲だった。このホウキ遊びの感覚がゴルフにおいて大切な要素のひとつだと気づいたのは大人になってからだった。

「あの時にやってたことはゴルフに必要なことだったのかも」

小さなホウキの柄を手のひらの上で安定させる時に、全身を使って重心の下に入り込む体の使い方は、適度な力加減でイレギュラーな体勢から立て直す力を養ってくれていた。

「体をガチッと固めるよりも、動きの中で常に自分にとって最適なポジションに入れる力感を、身につけるのにいいと思いましたね」と当時を振り返った。

ゴルフに例えるとスウィング中は常に動きの連続で、その時にどんなポジションでも最適な体の重心位置を取り続ける能力を養うことに繋がると秀憲は考えている。

これはホウキでなくてもゴルフクラブで簡単に体感できる。さらに「手のひらで出来るようになったら指先でやってみるのもいいです」と、バリエーションのひとつとして支える面積を少なくすればさらに強度が上がる。場所を選ばず出来る点も含めて有効なトレーニングのひとつと言える。

不安定なクラブを全身を使って重心の下に潜り込む感覚がゴルフにも繋がる

ホウキ遊び以外にも秀憲はゴルフ以外の物からゴルフ上達に活かせる方法を考えて実践することは多々あった。過去にはゴルフとはまったく異なるスポーツからヒントを得ていた。

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