物事に取り組む際に“量より質“なのか“質より量“なのかと語られることがあるが、秀憲は幼少から学生時代にかけては圧倒的な練習量をこなしてゴルフの基礎を創り上げてきた。しかしイップスをきっかけにその概念を一度切り離し、量だけではなく、別の角度からゴルフの上達について向き合うことを始めた。それは秀憲にとって「ゴルフ上達のための質の向上」の大切さを学べた経験だったと言う。そして量と質のバランスを見極めるための方法を自身の成功体験を踏まえて語ってくれた。

“質と量のバランス“は自分を知ると見えてくる

「起こっている現象に対して根拠となる部分が必ずあると思いました」ということをあらためて学べた。

人間の肉体構造を学び、自分の現状を分析したことでゴルフや私生活に良い影響を及ぼし、同時に秀憲の考え方にも変化があった。それは「自分が置かれている状況に応じて練習量と質のバランスを把握すること」だった。

「始めたての時は量が必要だと思います。これはプロゴルファーも今に至るまでに絶対に量があります。その量の基、創った型がある上で質を高める方法や量とのバランスを考えるんです」。

秀憲のこれまでの人生を振り返ると、物心がついた時から祖父の元でゴルフの英才教育を叩き込まれていた。それは1日中、他の誰よりもクラブを振り続け天文学的な球数を費やしてきた圧倒的な量が基盤にあった。栄光の小学生時代の最中、イップスに襲われ暗中模索の日々を中学から過ごしてきた。そしてイップスとの戦いの中で見つけたゴルフ以外での脱却の糸口が次々と功を奏した。

秀憲は「やっぱり学生時代は練習量でどうにかイップスを克服できないかと考えて、ひたすらやれることをこなしていました」とイップスがきっかけになっていた。

初期の頃はこれまでの経験を踏まえて、ゴルフの練習量で解決策を導き出そうとしていた。しかし兆しが見えず、何かを変えなければならないと立ち止まった時、ゴルフ以外で解決の糸口を探すという視野を広げた結果、軽減されていった。量と質のバランスを見直して成功したひとつの経験になった。

自分が置かれている状態を分析してその時に合う練習量や質のバランスを見極め、実践していくことで今の秀憲が出来上がった。

量と質のバランスはその時の自分の状態を把握することで決まる

一般ゴルファーにあてはめて、質の部分を紐解いてもらうと「例えば年齢によって練習量に対しての疲労の蓄積や回復速度が異なるので、量を減らして体のケアに充てる時間を増やしたほうが良いケースもあります」と秀憲は解説してくれた。つまり自分にとってどちらの方法がベストな選択かは、常日頃の分析と目的に合わせて変わってくるというわけだ。

挫折をきっかけに技術的な方法だけでなく、これまで自分の精神的な支柱であった練習量の考え方を見直し、視野を広げて様々な知見を深め、実践することで質を高める大切さに秀憲は気づかされた。その時の自分の状態を分析し、知ることで最適な量と質のバランスを見極め、成功体験を積んだ秀憲は、またひとつゴルフの奥深さを体感したのだった。

【プロフィール】
伊澤秀憲(いざわひでのり)/1991年6月生まれ。神奈川県出身。叔父伊澤利光の父であり、祖父の利夫氏に2歳からゴルフの英才教育をうけながら、ジュニア時代は同世代の松山英樹、石川遼らとしのぎを削ってきた。YOUTUBEチャンネル「アンダーパーゴルフ倶楽部」にてショートゲームを中心とした動画を配信中!

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