同大会の舞台となったのは、(株)可児ゴルフ倶楽部が運営する富士カントリー可児クラブ可児ゴルフ場志野コース。大会期間中は再生可能エネルギー由来の電力である「ぎふ清流Greenでんき」を活用し、電力使用に伴うCO2を排出しない大会を実現したという。同電力は、中部電力ミライズが岐阜県内の長良川や飛騨川、揖斐川などの水力発電によって得た電力。CO2を排出しない岐阜産の電力を供給し、県内企業の脱炭素化を進めてきた。
環境に配慮したゴルフ場運営を実現していくため、運営母体である可児ゴルフ倶楽部は今年4月から同電力を一部利用。そして大会期間中すべての電力をこちらで賄うことができたことから、電力使用に伴うCO2の排出量がゼロとなったわけだ。
岐阜県では2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロとし、脱炭素社会の実現を4年前に県知事が表明している。その一環として県と小売電気事業者が提携し、脱炭素社会実現へ歩を進めている
最中にあることから、県内企業の代表として同倶楽部に白羽の矢が立ったのも当然といえば当然なのだろう。
同倶楽部は1972年に開場し、設計は上田治、富澤廣親、加藤義明。大会会場となった志野Cのほか、織部C、黄瀬戸Cの計54ホールを擁する。フェアウェイはなだらかなアンジュレーションを持つ丘陵コース。織部Cはベント2グリーンで、黄瀬戸Cはベントとコーライの2グリーン。志野Cがベントの1グリーンで距離もあるということで、今年の日本プロ開催コースに選ばれた。ほかに同倶楽部グループは27ホールの美濃Gを持つ。
余談だが、志野Cは日本プロ開催の前に改修を行っている。18番は優勝した杉浦悠太がティーショットを左のバンカーに入れ、2打目をあごに当てるミスを誘ったが、あのバンカーのマウンドを高くしたのも改修の一部だった。今回の試みの意義を、ゴルフ場経営コンサルタントの菊地英樹氏は次のように話す。「かつて環境破壊と騒がれたゴルフ場でしたが、現在は環境の保全に熱心なところも少なくありません。岐阜県の水資源の豊かさを利用し、自然豊かなゴルフ場として脱炭素社会の先駆けとなった今回のケースは、ゴルファーにとって嬉しいことです」。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年7月30日号「バック9」より