母国のヒーローが栄冠を勝ち取った瞬間、ギャラリーは総立ちになりロバート・マッキンタイアの愛称「ボブ」の名前を連呼した。「一番勝ちたかった」ジェネシス・スコティッシュオープンでスコットランド勢25年ぶりのチャンピオンに輝いた27歳のレフティは「信じられない」を繰り返した。

最終ホール6.5メートルのバーディパットはカップの淵を一周して消えた。その瞬間言葉にならない叫び声を上げ、タイガーばりのアッパーカット式ガッツポーズを繰り出しマッキンタイアは「叫び過ぎて声が枯れてしまった」。

昨年はホールアウトした時点でクラブハウスリーダーに。しかし18番でローリー・マキロイの2番アイアンが火を吹きバーディを奪った彼に1打足りず戴冠を逃した。

しかし今年は逆に72ホール目のバーディでアダム・スコットを突き放し1打差で念願のトロフィーを掲げた。

昨年のDPワールド(欧州)ツアーでトップ10入りし、今季はPGAツアーを主戦場に戦うマッキンタイアは6月はじめ世界で4番目に古いRBCカナディアンオープンで父・ドギーさんを臨時キャディに雇い親子で優勝を勝ち取った。

普段は地元でグリーンキーパーをしている父は「私の本業はキャディではなく芝刈り屋なんだ!」といって周囲を笑わせたもの。

今回は父を含めた家族、親戚、友人が見守る中で99年のコリン・モンゴメリー以来となる母国のナショナルオープンチャンピオンに輝いた。

スコットランドの小さな海沿いの町オーバンに生まれたマッキンタイアは「自分は労働階級の出身です。僕の上に2人姉がいたのですが両親が彼女たちを養子に出しました。6、7年前に養子の男の子が我が家にやってきて一緒に暮らしています」

「姉たちのために馬を飼っていたのですが、経済的に余裕がなく馬を手放した姉たちがそのお金で僕にイギリスを旅する機会を与えてくれたのです」。そんな生い立ちを持つ彼が4日間で162万ドル(約2億5千万円)を稼ぎ出した。

画像: タイガーばりのガッツポーズを繰り返したマッキンタイア(PHOTO/Getty Images)

タイガーばりのガッツポーズを繰り返したマッキンタイア(PHOTO/Getty Images)

苦労しながらプロになり、いまや最高峰のPGAツアーで戦うプレーヤーになったが、アメリカでは常に「ホームシックにかかっている。故郷にいるのが一番幸せ」。だから同じくスコットランド(ロイヤルトゥルーン)で開催されるメジャー、全英オープンへの思い入れは人一倍強い。

マッキンタイアが18番でバーディを決め1打足りず久々の優勝を逃したスコットは「ボブ(マッキンタイア)の優勝をうれしく思う。彼にとってとても大きな勝利。昨日一緒に回ったけれど本当にすごい応援だった」と相手の勝利を喜ぶスポーツマンシップを発揮。

ミスター・ナイスガイにも3年半ぶりの勝利が早く訪れますように。

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