スウィンガータイプに向けた1本
連載第25回目は、福岡県福岡市にある「GOLF STUDIO OKIKO BALANCE 福岡店」の店長兼マネージャーの門田憲之さんがおすすめする1本をご紹介。門田さんは球技好きの理由から務めていた会社を退職後、広島県内の練習場で約5年勤務した後、現在のオキコバランス(広島本店)に就職した。当連載24回目『広島本店』の代表、沖さんと立ち上げ当初から家族の様わきあいあいと、事業拡大を共にした昔からの仲だ。
門田さんに工房の強みを聞くと、「我々オキコバランスは独自の『DC理論』というフィッティング方法を持っています。まず私が重要視していることは飛びの3要素ともいわれているボール初速、打ち出し角、バックスピン量を確認しています。次に適切なデータの要素として握力、長さ硬さ重量、ロフトを計測して推奨のスペックを導き出します。フィッティングによるシャフトの入れ替え、データ計測などは競合他社さんでも行っていることではありますが、我々はさらにグリップ交換をし、同じシャフトだがグリップによるフィーリングの違いを感じていただくこともあります。また同じヘッドで複数のシャフトを組み立てたりできますので、かなり理想に近い状態で試打できる環境を用意していることが特徴ですかね」と広島本店同様、試打一つでも徹底的に突き詰める姿勢はオキコバランスの特徴と言っても過言ではないかもしれない。なお、オキコバランスは3店舗あり、どの店舗でも『DC理論』を利用したフィッティングをしてくれる。自分にとっていい数値を知ることで、意識して練習できることも相乗効果なのかもしれない。
「ゼロゴルフ株式会社の『KODO』と『Arcobalenox』がおすすめのセッティング」と門田さん。「まずはヘッドの『KODO』は、多種多様な重量調整が特徴で、フェース面とソール後方に3個ずつビスが埋め込まれており、最低6g、最大で42gまで調整が可能です。また開発に10年程度要したヘッドで、我々が重要視している飛びの3要素を実現してくれるヘッドとなっています。またシャフトのアルコバレーノですが、まず最後の『エックス』は読みません(笑)。このシャフトはヘッドを軽く感じる所謂カウンターバランスです。通常重量だとバランスが出にくいですが、『KODO』との組み合わせでヘッドを自分好みに利かせられる理想の1本ができると思い組みました」(門田さん)
●ヘッド/ゼロゴルフ株式会社 KODO(10.5度)
10人のゴルファーがいれば10通りのスウィング。そのひとりひとりのスウィングに応えたい、という強い思いから始まった。「飛び」に徹底的にこだわり、無駄なものはそぎ落としていく。シンプルな哲学がこれまでの地クラブの常識を覆す。そう信じ続けた10年の歳月を経てたどり着いた1本のクラブ。スウィング、シャフト、ヘッドが三位一体となった瞬間打ち出される球は高く、強くそして美しい弾道を生むことができる。価格(税込)/詳細は公式HPへ
●シャフト/ゼロゴルフ株式会社 Arcobalenox type1
「シャフトにはタイプ1とタイプ2がありまして、簡単に言うとスウィングタイプによって選択する基準が変わってきます。今回選択した『タイプ1』は体を積極的に動かし、遠心力を使って振る“スウィンガータイプ”に合うシャフトです。『タイプ2』ではダウンブローに打ち込んでいける“パンチャー”タイプの方が合うと思います。調子で言うと元調子系ですね」(門田)価格(税込)/ 詳細は公式HPへ
切り返しのタイミングがわかりやすい万人向けシャフト
ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けしよう。
「このヘッドとシャフト初めて見ました。調べてみたら同じメーカーが作っていて、元プロ野球選手の秋山幸二さんが使用しているヘッドだそうです。秋山さんはゴルフが上手なことで有名ですよね。クラブを実際に構えてみると見た目がかなりアップライトに見えるのですが、フェースが被って見えないから全然左に行くイメージが沸かないことに驚きです。切り返しで大きくしなってくれるので、『あ、ここがトップなんだな』っていう感覚が非常にわかりやすい。クラブが動きたい方向に動いてくれて、軽量だけれども暴れないシャフトという印象ですね。このタイプの味付けはクラブの動きに応じて振れる“スウィンガータイプ”の方だと思います。市販のクラブではなかなか無い味付けなのでとても面白い組み合わせだと思いますね」(堀越)
弾道計測器にはラプソード『MLM2 PRO』を使用し、いつものようにHS42m/sくらいで試打を開始。「シャフト自体は軟らかく感じるけれど、変な挙動がないため、どこかしっかりしているようなふり心地に感じました。ただアップライトではあるのでつかまりはとても良くなっていると思います。私が打った感じ少しスピン量が多くなる傾向(2400rpm前後)があるので、ヘッドスピードが遅く、ドロップしやすい人には特効薬になる可能性もあります。ただ1つ注意して頂きたいのがシャフト重量が40g台でしっかり仕事をしてくれているので、地面から打つクラブが難しく感じてしまいます。しっかりとフィッティングして下の番手も決めたい所ですね」と多少の注意はあるもののかなり好印象。「このヘッドはウェイト調整が6カ所もついていて、それぞれの悩みを解決できそうな、カスタム性の高いクラブだと思います。ここまで調整できるようなクラブはなかなか貴重ですね」
なお、ヘッドスピード42m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。
ボール初速●61.2m/s
打ち出し角●13.7度
スピン量●2388rpm
キャリー●225.8Y
総飛距離●246.9Y
総評
「このクラブの特徴として、アップライトにしてつかまりを良くしつつ左に行きにくいタイミングが取りやすいシャフトを挿していて、お互いが助け合うような味付けがよく考えられている組み合わせで、とても印象に残るクラブでした。またヘッドスピードが42m/s以下でもある程度スピンがかかるためドロップは防げますし、何回か強振した際には適したスピン量になっていました。ウェイトでカスタム性も高く、万人に合わせることのできる組み合わせだと感じました」(堀越プロ)
GOLF STUDIO OKIKO BALANCE 福岡店
クラブ試打やフィッティングの他、パター練習場が併設されているゴルフショップ。
公式のブログもスタッフや店長お気に入りアイテムなどが紹介されているので、是非確認してほしい。
住所/福岡県福岡市早良区百道浜2-3-2TNC放送会館3階
営業時間/11時~19時(定休日:毎週火曜日)
電話番号/092-832-3020
THANKS/クレアゴルフフィールド