自分のストロークと重心角をマッチさせる【パター選びの第一歩】
最初に選ぶのは重心角=ネック形状
世の中には多種多様なパターがあふれていて、プロだってみんな違うものを使っている。パターになんとなく「好み」はあっても、果たしてそれが本当に自分に合っているのかわからないという人は多いはず。
そこでパッティングの指導が得意という渡邊康プロに、コーチの視点から選び方のコツを教わった。
「パッティングの精度を上げるためには、道具として『自分のイメージどおりに動かしやすい』パターを選ぶことが大事だと私は考えています。そのために最初に考えてほしいのが自分のストロークとパターの重心角をマッチさせることです。パターも、ライ角が90度でない以上、ストロークは完全に真っすぐにはならず、多少のフェース開閉を伴ったアーク(弧)軌道になるのが自然です。このアークのカーブの強さは個人差があるので、自分のカーブにマッチしたパターを使うことが重要なんです」
重心角とは、フェースの開きやすさの目安となるスペックで、パターを水平に保持したときにヘッドのトウ側がどのくらい下がるかで判断できる。重心距離の長いものほど大きくなりやすく、ネックの形状の影響を大きく受ける。L字やクランクネックは大きくなり、ベントネックやセンターシャフトなどはほぼ0度で、これはフェースが真上を向くことからフェースバランスと呼ばれる。
【重心角=フェースの開閉しやすさの目安】
パターを置いたときにトウ側がどれだけ下がるか。この角度が大きいほどフェースが開きやすいことを示し、フェース開閉量が大きいストロークに合う。
渡邊プロによれば、ストロークのカーブが強く、フェース開閉量が多い人ほど重心角が大きい=フェースを開きやすいパターが合うとのこと。つまり、ネック形状が自分のストロークに合ったものを選ぶことがパター選びの第一歩というわけだ。
パターの重心角はネック形状で決まる
パターの重心角は、ヘッドの形状や重心位置以上にネック形状に左右される。シャフトがヘッドのヒール側に直線的に付いているL字やショートスラントネックは重心角が大きくなり、センターシャフトや、シャフトの装着部はヒール寄りだがシャフト軸の延長線がヘッドセンターを指すベントネックなどは重心角が極めて小さく、フェースバランスになるものも多い。
基本的には「ショートスラントネック」「クランクネック」「ロングスラントネック」「ベンとネック」「センターシャフト」の順に重心角は小さくなっていく。
「軌道は完全な真っすぐにはならないと言いましたが、イメージとして真っすぐを目指したい人、アーク軌道やフェースの開閉をイメージできない人もいます。そういう人は、重心角のないフェースバランスのパターがおすすめです。自分の軌道をチェックするには、下の線に合わせてバックスウィングしてみてください。太い線が平均的なアークなので、それよりカーブが強めか弱めかで、重心角大きめがいいか小さめがいいかの目安になると思います」
パターマットを使ったストロークタイプ判別方法 !
【タイプ①】アウトサイドもしくは シャット→重心角小
太い線よりも外側に上がる人、フェースが閉じている人は、重心角が小さめのパターが合う。フェースバランスでもOKだが、理想は若干の重心角があるものがよい。
【タイプ②】インサイドもしくは オープン→重心角大
太い線よりも内側に上がる人、フェースが開く人は、重心角が大きいパターが合う。クランクネックやショートスラントネックがスムーズにストロークしやすい。
タイプ②が当てはまる人
基本的にヘッド軌道は完全な真っすぐにはならず、若干のカーブを描き、フェースの開閉も生じる。ただしこのカーブやフェース開閉の強さは個人差があるので、その強さに応じた重心角を選ぶべき。
タイプ①が当てはまる人
真っすぐ軌道を強くイメージしている人や、インサイドに上がるイメージを持てない人、フェースが開くのが気持ち悪いという人は、絶対的にフェースバランスのパターがおすすめだ。
【注意 !】「パンチが入る」と悩む人は「真っすぐ」を意識しすぎかも⁉
パンチが入りがちな人は「真っすぐ」を意識しすぎているケースが多いと渡邊プロ。「真っすぐ」動かすために体を固めて使いたいが、固めきれずインパクト前後でヘッドを動かしてしまってパンチが入る。アークのイメージを取り入れてみると解消されるケースもある。
構成・文/鈴木康介
写真/小林司、岡沢裕行、大澤進二
協力/ FOXY GOLF
※月刊ゴルフダイジェスト9月号から一部抜粋
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