左を恐れずに振れるフェードヒッター向けクラブ
連載29回目は福岡県久留米市に工房を構える「エルゴルフ」の米倉雄一郎さんがおすすめする1本をご紹介。米倉さんは大学を卒業後、研修生としてクラブに所属。中古ゴルフショップ店員を経て、オーナーの高尾陽介さんに誘われて、エルゴルフの店長となる。米倉さんは年に3回程度アマチュアの大会に出場する腕前で、オーナーの高尾さんと「2017年 企業対抗ゴルフ大会『じゃらんゴルフCUP2017』ダブルス戦」にて日本一となっている。
フィッティングに関して訊くと「機械とかは特にないので、スウィングを見て、大体この人にはこういうのが合うなっていうのはスウィングとヘッドスピードとかである程度狭めていきます。その後、何回か打っていただいて、シャフトやヘッド候補を絞っていくという感じです。お客様に合うクラブというのは1回ではなかなか作れないので、今使っているクラブセットの悩みに合わせてフィッティングしていくことが多いですね。使っているクラブから良い方向に持っていくことを心掛けています。アイアンに関してもヘッド選びを慎重に行っていて、お客様に合った実力からヘッドを選び、最後に好みを反映することが多いです。もちろん、お客様からヘッドの指定がある場合にはシャフトやグリップでなるべく振りやすいような形に仕上げていきます」とのこと。
ちなみにクラブセッティングの考え方を訊くと「バランスがD4、D5出ていてもほぼ100%ティーアップして打つので、ドライバー単体で考えても良いと思います。ですが一応パター以外全体の流れは見ます。ドライバー変えるとモチベーションも上がりますしね(笑)」とあくまで個人の感覚を優先し、振りやすさを追求している。
「ピン『G430』とフジクラ『ダイヤモンドスピーダー』がおすすめ」と米倉さん。
「今回のクラブはヘッドスピード45~47m/s程度で腕力や握力が少ない人。ただ球が上がり過ぎてしまう方を対象に作りました。シャフトは5Sですが、このシャフト自体が50g台にしてはトルクが少ないんです。そのため速めに振ってもしっかりヘッドがついてくるので『飛ばしには自信あるけど、たまにチーピンが出る』というような方が中弾道にもなってくれるようなイメージで作りました」
●ヘッド/ピン G430 LST(9度)
クラウンからソールまでの形状を改良。クラウン部分に軽量のカーボンを採用し、ブレない低スピンを生む"激飛 G430 LST"。440ccの小ぶりで操作性のあるヘッドが、超極薄の反発フェースと理想の低重心設計により、強弾道&低スピンで最大飛距離を生み出す。初搭載の「スピンシステンシー・テクノロジー」で上下のミスヒットでも最適なスピン量と弾道で最大キャリーを実現した。価格(税込)/9万9000円(ヘッド+シャフト込み)
●シャフト/フジクラ ダイヤモンドスピーダー (5S)
「ちゃんとしなるんですけど、捻じれない。そんなシャフトだと思います。シャフトにヘッドがついているのでどうしても捻じれてしまうところを、このシャフトは最小限に抑えてくれます。本来捻じれたほうが閉じてくる力が発生するため飛びやすいのですが、ヘッドが走るような味付けのためヘッドスピードが上がりやすく、左右のブレも少なくなるようなシャフトです。ただ、ヘッドスピードが遅い方や、キレがない人、またクラブに仕事をさせてあげないと多少難しく、飛ばなく感じるかもしれません」(米倉さん)価格(税込)/6万6000円
平均点が高く、そしてフェアウェイに置ける組み合わせ(堀越)
ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けしよう。
堀越プロの第一印象を訊くと「グリップしてみるとすごく太く感じますね。グリップが太いおかげで手首のローテーションがしづらくなり、絶対に左に行かせたくないことがわかりますし、クラフトマンさんの意図を感じます。そしてすごく振りやすい。今回のような先が程よく走るシャフトにグリップを太くして、思いっきり振っても左に行きづらい。シャフトは5S表記ですがハードヒッターにも振りやすい仕上がりに感じますので、このくらいのスペックでしたらヘッドスピード45m/s以上の人に使っていただきたいクラです。このクラブが合う人は『左を消して、フェードを打ちたい人』だと感じました」。
今回はヘッドスピード45m/sで試打を開始。
「ロフトが9度のため打ち出し角はやや低くなりましたが、そこはシャフトのトルクの少なさや、強弾道にする効果が出ているのかと思います。全体重量が319gと今までこの企画で試打したクラブの中でトップクラスに重く、これはグリップの太さも関係してくると思います。ややカウンターバランス気味のため、持った時の印象と振ったときの印象が異なって振りやすく感じますね。個人的な感覚でヒッカケが出たような気がしますが、センターよりやや左に飛び出したものの、真ん中に戻ってくるフェード系の球が出やすい組み合わせです。かといってスライスが出るわけでもないので、実際にコースで使用した時はとても安定感が合って振っていけるイメージです。打感も良いので打っていて気持ちが良く、今どきのシャローな見た目なので構えていて球が上がりやすそうな安心感があります」
なお、ヘッドスピード45m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。
ボール初速●65.2m/s
打ち出し角●13.8度
スピン量●2370rpm
キャリー●234.3Y
総飛距離●260.7Y
総評
「今回は思っていたより振りにいける組み合わせだったため、通常より少しスウィングスピードを上げて試打しました。今回の特徴は大きく2点、1個目は『グリップの太さ』、2個目は『低トルクなシャフト』です。手のローテーションが減り、低トルクでヘッドの開閉が少ないため徹底的に左にいかせない意図を感じました。しっかり振りに行ってもフェードしてくれるので、コースで打った時のマネジメントがとてもしやすく、非常に振り抜きやすく安定感もありました」(堀越)
エルゴルフ
自身のプレーヤー視点とクラフトマン双方の視点で様々なクラブや知識を提供してくれる工房。
住所/福岡県久留米市上津町1195-4
営業時間/10:00~19:00
定休日/日・祝
電話番号/0942-21-5678
THANKS/クレアゴルフフィールド