ヨネックスの軟鉄鍛造キャビティアイアンに5代目となる『CB901』アイアンが登場しました。過去作よりもヘッド全体を大きくしやさしさを備え、さらにフェースを薄くしたことで反発性能に磨きをかけて「飛ばせるアイアン」に仕上げていました。クラブ設計家の松尾好員氏の分析によれば「軽く振っても飛ばせるアイアン」。今回は岩井ツインズが使用する軟鉄鍛造キャビティの『CB511』アイアンと比較してみました。

【試打クラブスペック】7I ●ロフト角/29.0度 ●ライ角/61.5度 ●価格(税込)/16万5000円(#6~PW)※すべてメーカー公表値

「あとちょっと飛べば…」を解決してくれる!

GD 今回はヨネックス『CB901』アイアンを『CB511』アイアンと比較しながら分析していただきます。2本とも同じ軟鉄鍛造のキャビティバック設計ですがヘッドデータに違いはあるのでしょうか。

松尾 はい。ヘッド重量、クラブ慣性モーメント、リアルロフト角を比較すると『CB901』アイアンがどのゴルファーに向けて設計されているのか見えてきました。

GD ではヘッド重量からお願いします。

松尾 『CB511』が267.6グラム、対して『CB901』が262.3グラムと5.3グラム軽い設計になっています。

GD 振りやすさに差が出そうな結果になりましたね。

松尾 ヘッド重量と関連するデータがクラブ慣性モーメントになります。『CB511』が269万g・㎠となっていて計測数値で換算すると、ヘッドスピードが44〜45m/s辺りのゴルファーにピッタリと言えます。『CB901』は262万g・㎠とやや小さく抑えられています。ヘッドスピードが39m/sのゴルファーが振りやすく感じると思います。

左が『CB511』、『CB901』。同じ軟鉄鍛造のキャビティ構造だがヘッドデータを比較すると異なる性能が見られた

GD つまり『CB901』は全体的に軽量設計にされていることで、パワーに自信がないゴルファーでも使いこなせるアイアンになっていると言えそうですね。続いてリアルロフト角についてよろしくお願いします。

松尾 『CB511』が32.5度と標準的な設定になっていますが、『CB901』は29.0度とストロング設定になっています。計算上ではロフト角が1度立つとキャリーで2〜3ヤード伸びるので、『CB901』は最近の流行りである“飛び系アイアン“を目指して作られていることが分かります。

GD ストロング設定とフェースの薄肉化で反発性能を高めることで初速を出しやすくなっているわけですね。

松尾 そうですね。しかし7番で29.0度となるとフェアウェイのあるがままの状態からコンスタントに打つことは難しいように感じます。性能を発揮してくれる場面はショートホールのティーショットだと思います。

左が『CB511』、右が『CB901』。『CB901』はフェースを薄く加工し反発性能を高めながら、さらにストロングロフト設計を組み合わせた”飛び系アイアン”になっている

GD 最後に『CB901』アイアンがおすすめのゴルファーについてお願いします。

松尾 他のヘッドデータに触れるとフェースプログレッションが小さく設定されてグースネック形状になっています。ボールを包み込みながらつかまえて飛ばせるところも特徴的なアイアンです。そして軽量設計で力に自信がないゴルファーでも扱いやすく、ストロングロフトを生かして飛ばせることを踏まえると、軽く振り抜きショートホールで確実に飛ばして狙いたいゴルファーにいいでしょう。

モチっとした軟鉄鍛造の打感!

ここからは実測データをもとに凄腕シングルでもある松尾氏にクラブ分析と試打レポートをしてもらいます。試打および計測ヘッドは7番、シャフトは「REXIS KAIZA-i HP」でフレックスSです。掲載数値はすべて実測値となります。

軽量設計に加えてネック軸回り慣性モーメントが小さく抑えられていることでヘッドの操作性が良い

クラブ長さが37.13インチと「標準的」ですが、クラブ重量が388.6グラムと「軽く」、スウィングウェイトがC8.3と「非常に小さい」ので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ慣性モーメントが262万g・㎠に抑えられ、計測数値のみで推察するとドライバーのヘッドスピードが39m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすくなっています。

ヘッド形状はフェースが長く、全体的に大きくなったことで、構えた時に安心感があります。そして「強めのグースネック」でボールをつかまえるイメージが出ています。

実際に試打したところ、ヘッドは全体的にオーソドックスな形状で構えやすく、強めのグースネックと丸いトップラインのおかげでアドレスでボールを包み込むイメージが出ています。またフェースのヒール側の高さに比べてトウ側が低めに設定されているので、アドレスではややフラット感が出ています。

軟鉄鍛造の打感の良さを継承しながら、構えた時にボールをつかまえてくれるグースネックと大きい顔でやさしさが備わった

試打シャフトはカーボン複合素材でかなりしっかりとしていて、インパクトの「再現性も高い」感じです。そしてカーボンシャフトと軽いクラブ重量、小さく抑えられたスウィングウェイトから非力なゴルファーでも振りやすいのが特徴です。

軟鉄鍛造ヘッドで打感が良く、インパクト音も低く、グースネックで球をつかまえるイメージで打っていて気持ちが良かったです。

リアルロフト角が29.0度とストロング設定で飛びを追求しているアイアンです。しかし他のシニアの方々にも打ってもらいましたが、フェアウェイのあるがままの状態からでは球が上がりにくい場面がありました。この飛距離性能を最大限発揮する場面はティーアップしたティーショットになるでしょう。

フェースが長めのアイアンながらもヘッドのネック軸回りの慣性モーメントが5467g・㎠(基準値:5500〜5999g・㎠)と抑えられていることで「ヘッドの操作性が良く」、インテンショナルに弾道を操作しやすくなっています。

バウンス角が6.0度と適度に付いていることで、ダウンブローに上から打ち込むとソールの抜け感が良かったです。軽い重量設計で振りやすい、さらにヘッドの操作性が良く、軟鉄鍛造特有の心地良い打感で飛ばせるアイアンです。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年9月3日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より

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