今回はコブラが誇る旗艦モデル『ダークスピード LS』ドライバーを前モデルの『エアロジェット LS』ドライバーと比較しながらクラブ設計家の松尾好員氏と分析します。松尾氏によれば「進化したポイントと継承されている設計があり、より飛びと操作性に磨きをかけられたドライバーになっている」と言います。どんなゴルファーにおすすめなのか考察してみた。

【試打クラブスペック】ロフト角●10.5度 ライ角●55.7度 体積●460cc 価格(税込)●8万6900円 ※メーカー公表値

さらに精密なヘッド操作が出来る!

GD 今回はコブラ『ダークスピード LS』ドライバーを前モデルの『エアロジェット LS』ドライバーと比較しながら分析していただきます。カラーリングも白から黒に変更された今モデルですが、ヘッドデータに違いはありますか。

松尾 クラブ長さ、ヘッドの慣性モーメント、ネック軸回りの慣性モーメントの3つに違いが見られました。一方で前モデルから継承されている部分もあり、コブラがドライバー設計で大切にしているところを感じました。

左が前モデルの『エアロジェット LS』、右が『ダークスピード LS』。カラーリングがガラッと白から黒に一新された。見た目以外にヘッドデータを比較すると、変化した部分と継承されているポイントがあった

GD ではクラブ長さからお願いします。

松尾 前モデルが45.25インチ、今モデルが45.0インチと短く設定され、前モデルよりも振りやすくなっています。

GD 前モデルを振り切るのが厳しく感じたゴルファーは試してみる価値がありそうですね。続いてヘッドの慣性モーメントについてお願いします。

松尾 前モデルが4283g・㎠、今モデルが4101g・㎠と小さくなり、より正確に芯にミ
ートすることが求められるドライバーになったと言えます。

GD なるほど。ヘッドの慣性モーメントだけで考えると難しくなったと感じますが、クラブ長さが短くなったことを考えるとバランスは取れてそうですね。ネック軸回りの慣性モーメントはどうでしょうか。

松尾 前モデルが7007g・㎠、今モデルが6672g・㎠と小さく抑えられています。ヘッドの操作性が良くなり、フェースローテーションしやすくなっています。

GD では今モデルに継承されている部分についてお願いします。

松尾 ヘッド重量とリアルロフト角になります。ヘッド重量が202.0グラムと他のドライバーと比較すると重い設計で、さらにリアルロフト角が10.0度と立てられています。この2点から考えられることはボール初速を出しやすくするために継続していると思います。

GD 重たいヘッド重量と小さいリアルロフト角が、コブラが考える飛びの流儀と言えそうですね。『ダークスピードLS』ドライバーはどんなゴルファーにおすすめですか。

松尾 名前に「LS」が冠されているように低スピンを突き詰めて、スイートスポットが低く設計されています。さらにクラブ長さが短くなったことに加えて、クラブの振りやすさの目安となる慣性モーメントが前モデルよりも小さくなっているので扱えるゴルファーの幅が広がりました。ライ角がフラットでフェース角もオープンで、素直に構えやすい顔で見た目もすっきりしています。操作性が良く重たいヘッドを効かせながら飛ばしたいゴルファーは一度試されると良いでしょう。

コブラ特有の三角ヘッドは健在

ここからは実測データをもとに凄腕シングルでもある松尾氏にクラブ分析と試打レポートをしてもらいます。試打および計測ヘッドは10.5度、シャフトは「SPEEDER NX for COBRA」でフレックスSです。掲載数値はすべて実測値となります。

ヘッドの慣性モーメントが小さく、重心深度が浅く設定されているあたりから、ミスヒットへのやさしさを求めていない本格的なドライバーを目指した設計ということが分かる

クラブ長さが45.0インチと最近のドライバーでは短い印象で、クラブ重さが301.1グラムと「標準的」です。しかしスウィングウェイトがD3.2と大きく、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが291万g・㎠と大きくなり、計測数値のみで推察するとドライバーのヘッドスピードが45m/sくらいのゴルファーにとって、タイミング良く振りやすくなっています。

ヘッド形状は輪郭が三角形型のシャープなイメージで、ヘッドの後方が高いハイバック形状にされていることで、インパクト付近をレベルにスウィングすると厚いインパクトで打てるイメージが出ています。

左が前モデル、右が今モデル。コブラらしい三角形ヘッドは健在だ

実際に試打したところ、アドレスではオープンフェースとフラットなライ角で球をつかまえ過ぎないイメージが出ています。またフェース面のバルジ(丸み)が少ない平らなフェース面も特徴です。

試打シャフトは軟らかめの設定なので、ヘッドスピードが42〜43m/sくらいのゴルファーでも十分扱えそうですが、力があるゴルファーにとってはややシャフトが負けてしまう感触があります。

ソール面のウェイトビスの位置がかなりフェース寄りなので、ヘッドの重心深度は非常に浅く設定され、ミスヒットのやさしさを求めた大慣性モーメントヘッドは狙っていないことが分かります。一方でネック軸回りの慣性モーメントは小さく抑えられ、ダウンスウィングでのヘッドの操作性は良く、自由自在にボールの打ち分けをしやすくなっています。

コブラの特徴である重めのヘッド重量と小さいリアルロフトの組み合わせから、低めの打ち出し角度でボール初速が出しやすくなっています。

重心深度は浅く、スイートスポットが低重心になっており、小さいリアルロフトも相まって低スピンの鋭い弾道を打ちやすくなっています。普段からスピン量が多いゴルファー(3200〜3500回転あたり)にとっては、スピン量が低減される可能性があるので試打してみるのもいいでしょう。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年9月10日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より

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画像: - YouTube youtu.be

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