「これからもたくさん優勝できるように頑張ります」(竹田)
思わず笑みがこぼれた。
最終18番、竹田は3メートルのバーディパットがカップの淵に止まると、ほっとしたように白い歯をのぞかせた。いったんマークをし、5センチほどのウィニングパットをコロンと沈める。
グリーンを取り囲んだ大勢のギャラリーから祝福の拍手を浴びながら、右手でボールを拾い上げ、そのままキャップのひさしをつまんで小さくおじぎをした。
表彰式では思いの丈を口にした。
「初優勝からの目標はメジャー優勝だったので、今週達成することができて、とてもうれしいです。まだ実感はそんなに沸いてこないんですけど、これからもたくさん優勝できるように頑張ります」
「20アンダーを目標にしてました」(竹田)
21歳にしてベテランのような貫禄さえ漂う最終日のプレーだった。
2位に3打差の単独首位からスタート。昨年の年間女王・山下の猛追を受けながらも冷静さを失うことはなかった。
4番で右手前から5メートルのバーディパットを決めて流れに乗り、5番はアプローチを1メートルに寄せてスコアを伸ばした。折り返しの10番で第2打がバンカーにつかまってこの日初ボギーも、14番で2メートルを入れてバーディ。勝負どころの16番は4メートルのバーディパットを沈めた。17番は3パットのボギーをたたいたが、この時点でまだ山下とは2打差。最後まで危なげない内容で逃げ切った。
「途中途中でボードを見たりして(1組前の山下)美夢有さんが伸ばしているなと思った。でも、それは想定していたので、自分は(通算)20アンダーを目標に、それだけを考えて回っていました」
「いつかは米ツアーに挑戦したい」(竹田)
記録ずくめの優勝となった。
完全優勝は2018年の申ジエ以来6年ぶりで日本勢初の快挙。優勝スコアの通算19アンダーは2021年の稲見萌寧と並ぶ大会最少スコア記録だった。また、前週ゴルフ5レディスから2週連続優勝で今季6勝目を挙げたが、今季21試合目での年間6勝到達は歴代4位のスピード記録となった。
「(19アンダーのことは)知っていました。毎週試合があるので(結果を)振り返ることはしないで、次、という感じでやれているのがいいのかなと思います」
この優勝で3年シードも与えられ、近い将来米ツアーに参戦するかどうかも注目される。
「3年シードを獲れたことですごく挑戦しやすくなったと思うので、特に来年とかは考えていないですけど、いつかは挑戦したいと思います」
年間最多勝のチャンス!?
今季女子ツアーは秋の陣に突入し、年間女王争いからも目が離せなくなってきた。このメジャーVで400ポイントをゲットし、年間女王を示すメルセデス・ランキングでは2位の山下以下を大きく引き離した。
「目指せる位置にいると思うので、毎週ベストを尽くして、その結果年間女王になれたらいいなと思います」
年間女王だけでなく、年間10勝という偉業も視界に入ってきた。この大記録は”レジェンド”不動裕理が2003年に達成しているが、そのときは今大会で6勝目をマークし、その勢いもあって年間10勝を成し遂げている。竹田にとっては”吉兆”ともいえる事実で、年間最多勝の更新までもチャンスは広がる。
「いつも毎週その試合でベストを尽くすのが目標なので、来週からもやっていきたいなと思います」
新星の進化は止まらない。