解説/小林大介プロ
日夜、世界のトッププロのスウィングを研究し、アマチュアへの指導経験も豊富。湘南衣笠ゴルフ所属。
上級者にも“シャンク予備軍”がいるぞ!
スライスやダフリは、ゴルフの腕前が上がってくればそれなりに収まってくるものだが、シャンクだけはいつになっても、収まらないので厄介だ。それもそのはず、実はシャンクには、腕前に応じて出やすいパターンがあるのだという。
小林 『突っ込み型』シャンクは誰でも出るミスですが、力みや当てにいく動きが原因なので、初心者やアベレージクラスに多い傾向はあります。一方、『あおり型』シャンクは昔から“出たら一人前”と言われます。クラブがインサイドから、グリップが先行して下りてきて、最後のリリースができずに起こるのが『あおり型』なので、ダウンスウィングの“タメ”はできていているため、腕前は中級者以上のレベルということになるわけです。
ーーそして最近、上級者ならではのシャンクが密かに往行しているという。そのシャンクは、大型ドライバーヘッドとマッスルバックアイアンという、上級者好みのセッティングによって引き起こされるのだという。
小林 本来、小ぶりで重心距離が短いアイアンはヘッドが返りやすいので、シャンクは出にくいと思うのですが、ドライバーの大型ヘッドとの組み合わせで通常とは違う動きが生じているのかもしれません。
ーーでは、小林プロが推測するこの組み合わせがもたらすシャンクの原因を聞いてみよう。
小林 大型ドライバーと小ぶりなアイアンを同じ軌道で打てば、当然、アイアンは重心よりもトウ寄りに当たりがちなんです。なお且つ、ドライバーの重心距離は平均でネックから4センチくらい、アイアンは3.5センチですからヒール寄りに5ミリ短くなっているので、アイアンの重心で打とうしたら、無意識に手元を前(体から離す)に出して、ヒール寄りで打とうとする意識が出てきます。
460CCヘッド&マッスルバックはなぜシャンクの危険性があるのか?
460CCヘッドとマッスルバックはヘッドの大きさがかなり違う
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・460CCヘッドは重心距離が長い
・マッスルバックは重心距離が短い
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460CCヘッドの感覚でアイアンを打つとトウ側に当たりやすい
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意識的にネック寄りで打とうとする
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『シャンクが出るリスクが高まる』
小林 この2つの要因が重なって、よりヒール寄りで打つことが強調され、ヒールが前に出ます。しかもマッスルバックはフェースが小さいので、ネックの部分が太く見える。そのため、ヒールに当たりやすくシャンクが出ます。
ーーそもそも大型ドライバーとマッスルバックアイアンの組み合わせでシャンクが出てしまう人は、クラブの重心位置の違いを感じとり、手先で調節してネックに当ててしまう上級者。そのため、治療法としては、ドライバーとアイアンを交互に打つ練習が効果的だ。
シャンクのリスクを減らす練習ドリル
●ドライバーとアイアンを1球1球、交互に打とう
ドライバーとアイアンを交互に打つことにより、重心距離が違うクラブを打つときに、自然に重心位置に打点を合わせられるようになってくるので、シャンクのリスクを減らすことができるのだ。
クラブそれぞれの重心位置の違いによってスウィングを自然に調整できれば、シャンクのリスクを減らすことができるはずだ。
さらに、マッスルバックでも、重心距離が長いモデルに変えてみること、もしくは“マッスルバック風”の大きめのヘッドの中空アイアンに変えるなど、重心距離の長い大型ヘッドドライバーと使用するアイアンの重心距離の差をなるべく短くすることも、シャンクを防ぐ選択肢の一つだ。
セッティングを見直すのもアリ!
「シャンクのリスクを減らすには、アイアンを替えるのもアリ」と小林プロ。見た目はマッスルバックだが中空構造でヘッドが大きいミズノプロ245などは候補のひとつだ。
シャンクに悩まされている人は、セッティングを見直すことも、検討してみよう。
TEXT/Masaaki Furuya
PHOTO/Yasuo Masuda
THANKS/葉山国際カンツリー倶楽部
※週刊ゴルフダイジェスト10月15日号「シャンクはなぜ出るのか?どう直すのか?」より