早速、動画をチェック
『スリクソンZXiシリーズ』の特徴は、ヒールとトウが特徴的に厚くなったフェース肉厚構造により、センター部分がSRIXON史上最薄となったフェース。その結果、フェースが大きくたわみ、生み出されたエネルギーを無駄なくボール初速に変えることが可能になった。なかでも『スリクソンZXi MAX』は強度を維持しながらクラウン全体の薄肉化により生み出した余剰重量を最適配分することで、シリーズで最大の慣性モーメントと深・低重心設計を実現し、寛容性と直進性を重視したモデルが出来上がった。
試打クラブのスペックは『スリクソンZXi MAX』でロフト角は10.5度。装着シャフトは『Diamana ZXi50(flex S)』だ。
まず、クラブの見た目の印象を癸生川プロは「構えた時の印象は、ちょっとシャローヘッドで、『MAX』の名のとおり球が上がりやすくてつかまりやすそうな感じですね」とコメント。
試打動画のなかから、センターヒット、トウヒット、ヒールヒットの3つのデータを比較して『ZXi MAX』のミスヒットへの寛容性について記事化していこう。
別途、行った試打で、クラブスピード38m/sで打ったときの降下角度(LAND ANGLE)が最適だったので(動画参照)、オフセンターヒットの試打も38m/sで行うことにした。
HS38m/s前後でセンターヒット時のデータをチェック!
打球は中弾道で、センターから右に10.6ヤードにキャリーしたストレート系。
トラックマン4のデータ
クラブスピード●38.7m/s
ボール初速●57.4m/s
打ち出し角●12.5度
スピン量●3329rpm
降下角●35.9度
キャリー●199.4Y
飛距離●220.7Y
打ち出し方向●0.4度右
スピンアクシス●6.3度右
SIDE●10.6Y右
GCクワッドのデータ
Hインパクト●3ミリトウ
Vインパクト●3ミリ低
打感や弾道見ての二人の感想は
癸生川:42m/sや40m/sで打った時よりスピン量が減って直進性が増して球が強くなった感じがする。
小島:仰る通り、降下角度が35.9度ですから、このスピード帯がちょうど良い高さかなという感じがします。直進性はあるけれど、球がつかまりすぎるという感じではないですね。フェースの向きに真っすぐに飛んでいくという印象です。
癸生川:球が捻じれないんだろうね。
ちなみに、ヘッドスピード42m/sくらいで打った時の落下角度は43.7度、40m/sで打った時は38.0度だった。「降下角度は40度を超えるとランがあまり出ない。ドライバーでいえば、降下角度は35度を切るくらいがキャリーとランのバランスが良いショット」と小島プロが補足する。
HS38m/s前後でトウヒット時のデータをチェック!
打球は中弾道で、1.1度右に飛び出して1.7ヤード目標の左にキャリーするチョイドロー系。
トラックマン4のデータ
クラブスピード●39.3m/s
ボール初速●57.8m/s
打ち出し角●12.0度
スピン量●2769rpm
降下角●30.5度
キャリー●195.4Y
飛距離●225.0Y
打ち出し方向●1.1度右
スピンアクシス●6.5度右
SIDE●1.7Y左
GCクワッドのデータ
Hインパクト●21ミリトウ
Vインパクト●3ミリ高
打感と弾道を見ての感想は
癸生川:トウに当たったから感触は硬くなるよね。だからといって凄く引っかかるという感じもないけど。
小島:ヘッドが(開く方向に)持っていかれる感覚はある?
癸生川:それがあまりない。それで、反動でフェースヘッドを引っ掛ける動きも出ないんだと思うな。
小島:けっこうトウに当たっているのに、それは凄いね。弾道は殆ど曲がってないです。
HS38m/s前後でヒールヒット時のデータをチェック!
弾道は中高弾道で、3.4度左に飛び出して目標の12.4ヤード右にキャリーするフェード系。
トラックマン4のデータ
クラブスピード●39.2m/s
ボール初速●57.2m/s
打ち出し角●13.5度
スピン量●3964rpm
降下角●39.7度
キャリー●193.4Y
飛距離●210.5Y
打ち出し方向●3.4度左
スピンアクシス●13.5度右
SIDE●12.4Y右
GCクワッドのデータ
Hインパクト●20ミリヒール
Vインパクト●4ミリ低
打感と弾道を見ての感想は
癸生川:球が凄く弱くなるね。
小島:それは何をもって“弱い”とするの? 距離なのか方向なのか。方向は範囲内に行く感じはする?
癸生川:範囲には行くね。
小島:スピンアクシスは13.5度とまあまあ右に傾いているんですけど、でも20ミリのヒールヒットですから、確かに方向は(曲がりの)許容範囲と思います。
このヒールヒットのデータを基に、小島プロがクラブフィッティングの大事なポイントをレクチャーしてくれた。
「ヘッドスピードが遅い人は、打ち出しの高さを確保に注目したほうがいい。逆にスピードが速い人ほどスピン量を減らすところを注目してもらいたい。これがフィッティングの大原則です。今回のヒールヒットで見ると、HS38m/sで20ミリヒールにズレたミスヒットに対して、確かにスピン量は3964rpmと多いけど、でも高さとしてはこれくらい(降下角が40度以内)で収まっているわけですから、このドライバーのミスの寛容性は高いといっていいです」
センター、トウ、ヒールのデータを比較
芯で打ったナイスショットと、トウとヒールで打ったミスショットのデータを比較することで、『スリクソンZXi MAX』の寛容性を小島プロが検証した。
「スピン量は、センターが3329rpm、トウが2769rpm、ヒールが3964rpmですが、数値の変化は一般的かなと思います。降下角度は3つの数値が30~40度の範囲に収まっていますから、これも適正と言っていい。距離に関してはキャリーはそれほど変わらないが、トータル飛距離になるとセンターが220.7ヤード、トウは転がるので225.0ヤード、ヒールは10ヤード落ちて210.5ヤードです。しかし、20ミリヒールに当たっても芯でとらえた球との差が10ヤードですからね。これは充分に寛容性は証明されたと思います」
まとめ
最後に、『スリクソンZXi MAX』のオススメゴルファー層を教えてもらおう。
癸生川:このドライバーはとにかく曲がらないので、「曲がらないなら振れる」、「振れれば飛ぶのに」と考えている人にお勧めです。
小島:まさに『MAX』の名に相応しく、曲がりづらいドライバーです。スピン量は少ないモデルではないので、ロフトやシャフト、ソール側のウェイトなどで調整をしながら、いろいろ試しながら選んでもらうといいと思います。
みんなのゴルフダイジェストYouTube・みんゴル試打班「ガチギアトラック」では、この『スリクソンZXi MAX』のロフト9度と10.5度で、それぞれの最適スピード帯を探る検証もしているので、そちらもぜひ視聴して、クラブ選びの参考してもらいたい。
※2024年10月21日11時35分、一部加筆修正しました。