解説/吉田一尊プロ
“飛距離アップ請負人”の異名を持つプロでYouTube も大人気。自身でクラブ(グランディスタ)開発も行い、インドア練習場をプロデュースするなど、多方面で活躍
データを活用しながら練習をする
前ページで触れたように、弾道計測器を使ってショットのデータを取れるのがインドアの魅力だ。ただし、下の写真にもあるようにデータ項目がいくつもあるため、戸惑う初心者もいるだろう。
「例えばトラックマンのような機械だったら打ち出し方向、クラブの軌道、フェースの向き、入射角
をはじめいろいろなデータを見ることができます。プロならそれぞれのデータの意味がわかりますが、練習に来た一般のアマチュアの方には難しいと思うので、『このデータだけ見ましょう』というのをお教えします。それだけわかっておけば、実際にレベルアップにつながるし、コースに行ったときもすごく役に立ちます」
インドアに最適な練習法と意識しておくことはコレ!
●5Y・10Y刻みで距離を合わせる
番手間の距離、いわゆるビトゥイーンを打ち分ける練習にも、数字ではっきり表示されるインドアは最適。「トップを小さくしてフルフィニッシュで振る」または「クラブを短く握ってフルスウィング」が吉田プロのおすすめだ
●マットのラインに平行に構える
インドアではマットのラインが補助線の役割を果たし、セットアップしやすい。コースではラインがないので正しく構えられない人は、ボールの先にスパットを見つけてラインを作り、それに対して平行に構えることを心がける
1つめは「打ち出し方向」だ。「要するに、フェースアングルが0だったら打ち出し方向も0、真
っすぐ飛び出します。両者は、若干のズレはありますがかなりリンクしていて、打ち出し方向が左右3度以内ぐらいだったらOBにならない。これが5度までいくとOBになる可能性があります」
計算上、打ち出し方向が右に3度ズレると、250ヤード先では13ヤード曲がることになる。実際には右に飛び出してさらにスライス回転がかかるため、曲がり幅は30ヤードほどになるが、それでも右ラフにはとどまってくれる。
これが打ち出し方向5度になると、250ヤード先での曲がりは27ヤードに。スライスも加えると約40ヤードとなり、これでは林かOB行きが濃厚だ。
「軌道のインサイドアウトやアウトサイドインはあまり気にしなくていいです。フェースアングルが真っすぐだったら真っすぐ飛び出るので、そこから右や左に曲がっても大ケガにはなりません。打ち出し方向を左右とも3度以内にまとめる練習をすると、ドライバーのOBがなくなり、アイアンのグリーンオン率も高くなります」
自分ではいい感じで打てているのに打ち出し方向がズレている場合は、「構えがズレていることが多
い」と吉田プロ。アドレスを調整して3度以内を目標にしたい。
①打ち出し方向
打ち出し方向の3度のズレは、250ヤード先では13 ヤードに。球筋の曲がりを加えると30 ヤードどになるが、実際にコースではOB までは行かない。まずは3度以内を目標にしよう。
②バックスピン量
アイアンではグリーンで止めるための、ドライバーは吹き上がって距離をロスしないための適度なスピン量がある。アイアンは「番手× 800回転」、ドライバーは「2000回転前後」が目安。
見るべきデータその2はバックスピン量だ。
「バックスピン量は各番手の距離感に影響します。つまり、アイアンでスピン量が少なすぎるとラン
が出てグリーンで止まらないし、ドライバーで多すぎるとランが出ず飛距離をロスします」
バックスピン量をチェックする際の目安がある。
・アイアン=番手×800回転
・ドライバー=2000回転前後
アイアンの場合、7番なら5000回転台後半というのが目安になるだろう。
「インドア特有の“フライヤー”にご用心」
アイアンで普段より飛んだときはダフリの可能性大。ダフってフェースの上に当たるとバックスピンが減って距離が出るので数値を確認しよう。
「打ち出し方向は左右(方向性)、バックスピン量は縦(距離感)のデータです。左右と縦のミスを抑えれば、大きく崩れることはありません」
吉田プロおすすめの上達しやすい練習の取り組み方
①インドア3回、屋外1回。このペースで練習しよう!
普段インドアでやっている練習の成果を屋外で確認する。インドアで表示された30 ヤードの曲がりが、実際にはこんなに曲がっているということを目視で把握し、数字の曲がりと実際の曲がりをすり合わせる。これを繰り返せば練習効果が上がる。
②球数を増やすより練習の頻度を上げよう
「週2回の練習で1回400球打つんだったら、週5回・1日40球のほうがいい」と吉田プロは断言する。毎日マイクラブを持参するのが大変なら、微妙な違いがわかるレベルでなければ、インドアのレンタルクラブでも毎日体を動かすほうが大事。
これまで屋外派だった人も、インドアを取り入れることで練習の幅が広がる。インドアでは2つのデータを活用して、より効率的にスコアアップを目指そう。
TEXT/Toshiaki Muraki PHOTO/Yasuo Masuda
THANKS/ステップゴルフプレミアム銀座有楽町
※週刊ゴルフダイジェスト10月29日号「インドア練習場の活用法」より一部抜粋