伊藤園レディス(グレートアイランドGC・11月8~10日)最終日、青木瀬令奈が前半5連続を含む6バーディ、ノーボギーの「30」と大爆発。惜しくも優勝は逃したが、11アンダーで首位に3打差の4位タイ、パッティングの調子の良さが際立っていた。その好調の理由は最先端の練習法にあった。
画像: VRを使ってパッティング練習する青木瀬令奈

VRを使ってパッティング練習する青木瀬令奈

実際のグリーン面をVR上に投影するパッティング練習法

画像: ヘッドセットから顔をのぞかせて、笑顔の青木

ヘッドセットから顔をのぞかせて、笑顔の青木

練習日、青木は”黒いブツ”を頭につけてパッティング練習に励んでいた。ボールを打つだけでなく、頭を起こしては目の前の”何もない空間”に差し出した指を左右上下に動かしている。回りで練習するプロたちも”あれは何?”と気にしていた。

その“ブツ”は「パットビューX」というVRの練習器具。パッティング練習する際に頭に装着するヘッドセットだった。

画像: 臼井麗香も興味津々

臼井麗香も興味津々

「セレナさん、何やっているんですか?」(臼井麗香&安田祐香)

「これでパットの練習できるの!」(青木)

そんなやり取りをしていた青木に何をしているのか聞いてみた。

「私がやっているのはVRのパッティング練習法です。練習マットやティーを差してラインを作る練習と違って、ボールとラインに集中できるんです」

画像: VR上で画面操作する青木

VR上で画面操作する青木

実際にボールを打つグリーン面の地形データを3Dでスキャニングし、そのデータを元に読み取って作成した傾斜などの情報を、VR上(目に映る画面)に投影して行うパッティングトレーニングシステム。タブレットのようにスクロールやクリックなどを指で画面操作するものだ。

青木が空間で指を動かしていた仕草はまさにそれだった。

画像: VR画面に映るライン上にボールを転がして練習する青木

VR画面に映るライン上にボールを転がして練習する青木

このVR上のパッティングトレーニングシステムでは、カップまでの正確なラインを描いたり、あらかじめセットしたアドレスの姿勢やスタンス幅、ボール位置などをチェックしたりと、一般的に行われているパッティング練習法のほとんどを、画面ひとつでできる。練習用のマットやパター定規など、わざわざ持ち込まなくてもVRひとつで“すべて”まかなえるという。

最終日の9バーディにその練習の効果が表れた。

「ラインへの打ち出しやスピード感が『パッティングビュー』みたいな感じで打ててるねと、コーチ(大西翔太キャディ)と回りながら話していたほどです」

前半の5連続バーディは、3番6m(上りのストレートライン)、4番50cm、5番2m(下りのストレートライン)、6番2m(下りのフックライン)、7番2.5m(フックライン)。18番では、3mの下りのフックラインをねじ込んでみせた。

今週、遅めのグリーンでタッチに苦しむ選手がいたなかで、長い距離も短い距離も、難しい傾斜も、速さにも対応することができた。

さながら映画「ミッションインポッシブル」のような練習システムでパットが開眼した青木。VRの近未来な世界はゴルフ界にも、広まっている。

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