金谷拓実が、初の賞金王も”泥臭く“もぎとった。
試合後のインタビューで「この大会に入るまで本当に苦しかったし長かったですけど」と話を始めた金谷。しかし、最終的には「そのなかでしっかり自分らしいプレーをする気持ちはありました」。
今日は母も応援に来ていた。多くのファン、支えてくれた人々が応援してくれた。そんななかで1打1打集中してプレーした。
2つバーディを取り前半を折り返すと10番でこの日初めてのボギー。14番をバーディとするも15番で再びボギー。しかしすぐに16番でバウンスバックしバーディ奪取。そして17番のパー5ではイーグルを決める。こういったゴルフが金谷らしい。
”盟友“ともいえる中島啓太は後ろの組で回っており、「(イーグルパットが入るのを見て)おそらくかなり長いイーグルパットが入った。終盤で力を発揮できるところは日頃からの努力の積み重ねだと感じるので、その気持ちの強さ、妥協しない強さがあると思います」。
周りには見せないが、金谷本人は、「気持ちに波が出てしまうんですけど、最後に気持ちを落ち着かせてピンチも我慢強くプレーできました」。これこそが金谷の”泥臭さ“であり、金谷が常に口にする”自分らしさ“なのだろう。
あまり人と一緒にいることが得意ではない。昨年末、「今年のテーマは“ワクワク”なんですよ」と少し自分を変えることをしたいと話していた。金谷の前のめりすぎるゴルフにいい影響になると周りからの助言があり、ゴルフばかりではなく、人との交流などを増やすことを目標にもした。今までは元旦から一人で黙々とゴルフをする金谷が自分のスタイルを変え、瀬戸内海の船上で新年を迎えた。
しかし、金谷拓実の根本は変わっていない。それこそが金谷の持ち味であり、強さの源なのだから。
最後まで賞金王を争った平田憲聖は、「もちろん悔しいです。でも、この結果は今週だけで決まったわけではなく、1年間を通しての結果。金谷さんは1年間通して素晴らしいプレーをしていたと思います。最後までよい形で接戦でしたけど、最終的には僕と金谷さんの差が大きくあると感じています」。
「結果が出ないときに腐らずに自分を見つめ直してできたのが今につながったと思います」
「また来週から試合はあるので、また1日1日成長していきたいと思います」
金谷拓実は2024年も”自分らしく“プレーして、日本の頂点に立った。だからまた、金谷らしく、今後も進んでいく。まずは、最大の目標、PGAツアーの出場権を獲得するため、Qスクールサードステージに向けてすぐにアメリカに旅立つ。
撮影/姉崎正