長いフェース長が安心感を与えてくれる
ここからは実測データをもとに凄腕シングルでもある松尾氏にクラブ分析と試打レポートをしてもらいます。試打および計測ヘッドは7番、シャフトは「スペックスチールⅢ Ver.2 M-43」(フレックスS)です。掲載数値はすべて実測値となります。
飛びとオートマチックなつかまり性能が備わっている
クラブ重量が410.5グラムと軽量スチールシャフト仕様としては標準的です。クラブ長さが37.13インチとやや長いので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ慣性モーメントは270万g・㎠と大きくなり、計測数値のみで推察するとドライバーのヘッドスピードが44〜45m/sくらいの方にとって、タイミング良く振りやすくなっています。
ヘッドはオーソドックスな形状と適度なグース感で構えやすく、フェース長が長く、高さがあるおかげで、フェース面が大きく見えてやさしく打てそうなイメージが出ています。
実際に試打したところ、リアルロフトが27.9度のストロングロフトなのでアドレスでは6番アイアンのようなフィーリングがあります。そして丸いトップラインとグースネックでボールを包み込んでつかまえやすいイメージが湧きます。また、アドレスでソールの後方が見えていることからソールの幅が広いことも分かります。

左から#5、#7、#9。フェースが長く丸みのある顔で安心感がある
試打シャフトはスチール仕様で適度なしっかり感があり、ヘッドスピードが40〜42m/sくらいのゴルファーでも扱えそうです。
フェース面に軟鉄よりも硬い“ニッケルクロムモリブデン鋼“が使用されているので、打感は硬く、インパクトでパチン感がありフェース面の弾き感がいい感じです。ヘッド背面の銘板(バッチ)で、インパクト音は少し抑えられている感じがします。
ソール幅は広いですが、ソールのバウンス角が0.1度とかなり小さいので、ダウンブローでターフを取るようなスウィングよりも、ターフをほとんど取らない横から払うスウィングのゴルファーに向いている設計です。
フェース長が長く、重心距離も長くなっていることで、ヘッドの操作性を判断できるヘッドのネック軸回りの慣性モーメントが6041g・㎠(基準値:5500〜5999g・㎠)とやや大きくなっています。ダウンスウィングでのヘッドの返りが緩やかになっており、ボールが左につかまり過ぎないので、方向性もコントロールしやすいヘッドです。
他のシニアゴルファーにも打ってもらいましたが、ストロングロフトの影響でフェアウェイのあるがままの状態からではボールが上がりにくかったです。しかしフェース面が大きくて安心感があり、ボールの弾き感がいいと言う声が多かったです。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年12月17日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より