叩いて飛ばせるフェードバイアスドライバー
ここからは実測データをもとに凄腕シングルでもある松尾氏にクラブ分析と試打レポートをしてもらいます。試打および計測ヘッドは10.5度、シャフトは「VIZARD EZ-C」(フレックスS)です。掲載数値はすべて実測値となります。
リアルロフト角が12.0度(カタログ値は10.5度)と大きく、ボールが上がりやすいのも特徴の一つ
クラブ長さが45.13インチと標準的で、クラブ重量が306.1グラムとやや重いですが、スウィングウェイトがD1.7に抑えられているので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントも290万g・㎠に落ち着いてます。計測数値のみで推察するとドライバーのヘッドスピードが45m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすくなっています。
ヘッドは兄弟モデルの『TW767』や『TW767 MAX』のような丸型形状ではなく、時計の文字盤でいうところの1〜2時方向に張り出しています。そして全体的に小ぶり感があり、見た目から操作性の良さが伝わる顔をしています。ヘッドの後方が高いので、インパクト付近をレベルにスウィングしやすいイメージが出ています。

左から『標準』、『MAX』、『LS』。『LS』は小ぶりでツアーモデルらしい端正な顔をしている
実際に試打したところ、『TW767』と同様にフェース面にはバルジ(丸み)がつけられており、ライ角が58.0度とフラット、トウ先が逃げているのでボールがつかまり過ぎないイメージが湧きます。
試打シャフトは軟らかめの設定ながらもインパクトの再現性は高く、ヘッドスピードが42m/sくらいのゴルファーでも扱えそうです。リアルロフト角が12.0度と大きい設定でボールが上がりやすく、かつ低重心率が65.4%と高重心でスピンが入りやすい。弾道が安定しやすいドライバーです。とはいえ兄弟モデルの中では一番スピン量が低く抑えられています。
重心深度(基準値:39.0〜40.0ミリ)が36.4ミリと非常に浅く、兄弟モデルよりもヘッドの慣性モーメントが小さくなっており、打点ブレに対するやさしさを目指したヘッドにはなっていません。またネック軸回りの慣性モーメント(基準値:7000〜7299g・㎠)は兄弟モデルの中では一番小さくされてはいるものの、7578g・㎠と大きくダウンスウィングでヘッドの返りが緩やかになっています。
スイートスポットの位置が明らかなトウ寄りに設定されているフェードバイアスになっており、大きいネック軸回りの慣性モーメントによって、オートマチックにフェード系弾道で飛ばせます。
この「LS」以外にも2モデルあり、それぞれ弾道やインパクト音が違うので、全て試打して自分に合うものを選ばれるといいでしょう。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年2月4日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より