レッスンプロを育成(指導)するレッスンプロの先生が教える「ゴルフの教科書(基本)」。今回は「スウィングの大きさ」を解説する。【レッスンプロの先生とレッスンプロの教科書から学ぶゴルフの基本㊼】
画像: 左がイメージクロックの1時のフィニッシュ、中と右の写真がクラブを持ったときの1時のフィニッシュ

左がイメージクロックの1時のフィニッシュ、中と右の写真がクラブを持ったときの1時のフィニッシュ

「イメージクロック」で手の向きと手のポジションを確認しよう

画像: 「イメージクロック」で手の向きと手のポジションを確認しよう

「イメージクロック」で手の向きと手のポジションを確認しよう

GD  前回は「イメージクロック」で手の向きと手と腕のポジションを説明していただきました。9時~3時から難しくなるんですね。

原田 覚えてしまえば簡単ですよ。では、10時~2時です。両手は肩の高さで手のひらは正面のよりわずかに上を向きます。手首が甲側に折れてわきが締まりひじは下を指します。これがいわゆるスリークォータースウィングですね。

GD 10時~2時では手のひらは真上ではないけど、少し上を向くってことですね?

原田 そうです。次、11時~1時は手がほぼ耳の横です。手のひらは10時~2時よりも少し上を向き手首は甲側に折れて両わきが締まってひじが下を向きます。これがフルスウィングの大きさ。11時~1時の大きさがフルスウィングだよとアマチュアの人に説明すると、え、こんなに小さくていいんですかと驚く人がいるけど、私はこの大きさでいいと言います。

GD 1時の手のポジションを見ると最後まで振り切るフィニッシュというより、2時のスリークウォーターを少し大きくしただけに見えますが。

1時のフィニッシュは大きなフィニッシュ

画像: 正面を向いたイメージクロックでは1時のフィニッシュは小さく見えるが、体を回した1時のフィニッシュは大きい

正面を向いたイメージクロックでは1時のフィニッシュは小さく見えるが、体を回した1時のフィニッシュは大きい

原田 1時の手の位置は左耳のすぐそばです。体幹ターン(体重移動と体の回転)をして上体がターゲットを向いた状態の1時です。イメージクロックの説明で体を正面に向けたままの1時を見れば、小さく見えますが。しっかり回ってるでしょ。

GD たしかに。手の向きやポジションはあくまでもイメージクロックでした。クラブを持って、1時の位置まで振れば、まさにフルスウィング。トップの11時も捻転した分だけ、さらに手の位置は高くなりますね。

原田 そういうことです。

GD 必要以上に大きくすると逆に再現性とか安定感とかが損なわれてしまうということですね。

8時~4時までは腕を伸ばし、9時~3時からひじを曲げてわきを締める

画像: 8時~4時までは腕を伸ばし、9時~3時からひじを曲げてわきを締める。テークバックとフォローのひじをたたむタイミングを知ろう

8時~4時までは腕を伸ばし、9時~3時からひじを曲げてわきを締める。テークバックとフォローのひじをたたむタイミングを知ろう

原田 うん、そう。でね、以上がクラブを持たない手、腕のポジションの説明ですけど、アマチュアの人はね、8時~4時から9時~3時へ移行するときの形が間違っている人が多いんですよ。どうして間違える人が多いかというとね、8時~4時の延長で上げる人が多いからです。

GD 8時~4時は両手のひらがほぼ向かい合っている状態でしたね。というと、両手のひらが向かい合ったままで形を変えずに9時~3時までいっちゃうってことですか? それだとわきが空いちゃうような気がしますけど。

原田 そう、そう。両手のひらが向かい合った状態のまま手、腕を上げていくと、腕が曲がらずに伸びたままになってしまうんです。

GD それではわきがガラ空きになってしまいますよね。

原田 そういう人は多いです。スウィング中わきが空くのはフルスウィングのフィニッシュのときの左わきだけです。途中でわきが空いたらフェースが開くなどの間違いが起こりますから、そういうエラーは絶対になくさないといけません。

GD では、どのようにしたら正しく8時~4時から9時~3時へ移行できるのですか?

9時では正面を向いた右手に左手を合わせる

画像: 9時では正面を向いた右手に左手を合わせる

9時では正面を向いた右手に左手を合わせる

原田 9時~3時にいくときは両手のひらを体の正面に向けて両手首を甲側に折ります。ここが大事です。8時~4時の時点では手のひらはほぼ向かい合っていましたが、それが体の正面を向くというのが大きな変化です。そうすると両ひじが曲がってわきが締まります。

GD 手のひらの向きを意識することで正しい動きができるようになるのですね。

原田 そもそもの話になりますけどね、人の質量の80%は体です。だから体を使ったスウィングをしなくてはいけないんだけど、質量的には20%の手、腕の振り方が間違っていることで、80%の体の動きを殺してしまっている人が多いわけですよ。その間違った動きというのは、8時~4時からその延長で両腕を伸ばしたまま9時~3時に上げていく人なんです。

GD ちょっと自分がやってみます。クラブを持たずに手、腕のポジションを確認します。ああ、確かに、原田プロの説明通り、8時~4時から9時~3時に移行するとき両手を向かい合わせたままだと腕が伸びてわきが空いてしまいます。でも、両手のひらを体の正面に向けて両ひじを曲げるとそうはなりません。

クラブを持っての9時をイメージしながら「イメージクロック」を行う

画像: クラブを持っての9時をイメージしながら「イメージクロック」を行う。9時の右手は正面を向ける

クラブを持っての9時をイメージしながら「イメージクロック」を行う。9時の右手は正面を向ける

原田 そうでしょう。初心者はもちろん多くのアマチュアは9時~3時でうまく手のひらを体の正面に向けて両ひじを曲げることができません。でもね、そこは頑張って覚えてほしいところです。でないと前へは進めませんから。

GD 正しいスウィングを身に付けるためには、絶対に必要な動きということですね。ここまでまだクラブを持たない段階での正しい手、腕のポジションを教えていただいたわけですが、クラブを持ったらどんな感じなんですか?

原田 まだクラブを持たないで説明します。たとえば右手の9時に左手を合わせるようにします。グリップの形を作らないで、手を合わせるだけ。正面を向いた9時の手に左手を重なる要領です。腕を伸ばした7時の右手に左手を合わせて、8時、9時、10時、11時とテークバックからトップまで両手を合わせてください。

GD クラブを握る前に両手を合わせることで、手の向きがよくわかります。手、腕、肩も回るので、実際のテークアックとトップの感覚もわかりますね。

手のひらをパンパンと叩きながら手の向きと手のポジションを確認しよう

画像: 手のひらをパンパンと叩きながら手の向きと手のポジションを確認しよう

手のひらをパンパンと叩きながら手の向きと手のポジションを確認しよう

原田 これをちょっとドリルのように少しリズムよくやってみましょうか。最初は一番小さい動きの7時~5時からです。真下の6時の位置で両手を合わせてから右手を7時の位置、左手を5時の位置まで開きます。このときは腕が伸びて両手のひらが向かい合っています。で、この状態からまず左手を動かして手のひらを右手のひらに合わせ、左手のひらで右手のひらをパンパンと音がするようにたたきます。この段階では動きは小さいですが、これでバックスウィングのポジションを確認します。次は左手を右手から離して再び両手を所定の位置まで開き、右手を動かして右手のひらを左手のひらに合わせます。それから右手のひらで左手のひらをパンパンとたたきます。これでフィニッシュのポジションを確認します。

GD パンパンとたたくのはなぜですか?

原田 音を出すことによってポジションのイメージを頭と体に覚え込ませる狙いがあります。では、次回も引き続きイメージクロックの説明を続けましょう。

●原田伝一( 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長)

はらだ・でんいち。1955年、横浜市出身。80〜82年、US・NGFインストラクターセミナー参加。ゴルフ指導者について研究を積む。83年、NGF日本ゴルフ財団チーフインストラクター就任。2010年、一般社団法人 全日本ゴルフスクールプロ指導者連盟理事長に就任。数多くのレッスンプロを世に送り出している。

撮影協力/ENゴルフレンジ

手の向きと手のポジションを確認する「イメージクロック」

クラブの上げ方が良くなるドリル

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