近年のキャロウェイは初速性能を追求した『エピック』、『ローグ』。やさしさを高めた『ローグST』、『パラダイム』、『パラダイム Aiスモーク』というように、年単位でひとつの性能にフォーカスしたクラブを完成させてきました。そして歴代モデルで高めた初速とやさしさを融合させたのが新シリーズ『エリート』になります。今回はドローバイアス設計を謳うキャロウェイ『エリート X ドライバー』を紹介します。クラブ設計家の松尾好員氏は「つかまり性能だけでなく、他メーカーの“MAX要素”が盛り込まれている」と評価します。前モデルの『パラダイム Aiスモーク MAX-Dドライバー」と比較しながら分析していきます。

ヘッドの自然なローテーションでつかまる

ここからは実測データをもとに凄腕シングルでもある松尾氏にクラブ分析と試打レポートをしてもらいます。試打及び計測ヘッドは10.5度、シャフトは「VENTUS GREEN 50 for Callaway」(フレックスS)です。掲載数値はすべて実測値となります。

深・長重心でミスヒットに強く、つかまり性能抜群のドローバイアスヘッドだ

クラブの長さは45.0インチと標準ながらも最近のクラブにしてはやや短めの設定。クラブ重量が303.0グラム、スウィングウェイトがD1.6と共に標準的ですが、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントは288万g・㎠とやや大きくなっています。計測数値のみで推察すると、ドライバーのヘッドスピードが43m/sくらいのゴルファーにとって、タイミング良く振りやすくなっています。

ヘッド形状は『エリート(標準)』よりも横幅がやや広くなっており、投影面積も大きくなって打ちやすそうなイメージが出ています。そしてクラウン部は艶消しの仕上げになっているところも特徴です。

画像: 『エリート X』のほうが横幅が広く、投影面積が大きく見える

『エリート X』のほうが横幅が広く、投影面積が大きく見える

実際に試打したところ、まずアドレスでは『エリート(標準)』よりもヘッドの高さがあり、ライ角がアップライト。さらにFP(フェースプログレッション)値も非常に小さく、グースネックのようになっており、明らかにボールをつかまえたい気持ちが伝わってきます。

試打シャフトは軟らかめの設定ですが、適度なしっかり感があり、ヘッドスピードが40〜41m/sくらいのゴルファーでも十分扱えそうです。

『エリート(標準)』よりも重心深度が深く、ヘッドの慣性モーメントも大きいので、芯を外れたミスヒットに強い設計になっています。そして、ヘッドの操作性が判断できるネック軸回りの慣性モーメントが大きく、ダウンスウィングでのヘッドの返りが非常にゆったりとしています。オートマチックなヘッドの動きでボールをつかまるドライバーです。

リアルロフト角が『エリート(標準)』と同様に厳しく、弾道がやや低くなりやすいです。重心設定は少しヒール寄りで、軽いドローバイアスになっています。

画像: 中央寄りの重心設定の『標準』に対して、『X』はヒール寄り設定にされていることが分かる

中央寄りの重心設定の『標準』に対して、『X』はヒール寄り設定にされていることが分かる

フェース面の反発性能は「エリート(標準)」と同等でした。各モデルを同時に試打して、イメージに合う物を選ばれると良いでしょう。

※週刊ゴルフダイジェスト2025年5月27日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より

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