「本番に強くなるには“火の呼吸”を身につけよう」と話すのは、25年の開幕戦から活躍中の菅楓華らを指導する平田智コーチだ。本番に強い呼吸法を教えてもらおう。

教えてくれた人/パッティング専門の平田智コーチ

画像: 平田智パッティング専門コーチ(左)右は菅楓華

平田智パッティング専門コーチ(左)右は菅楓華

エンジョイゴルフ ゴルフスタジオ&パッティングラボラトリー福岡でツアープロからアマチュアまで教える。女子プロの菅楓華や昨年、アマチュアでステップ・アップ・ツアーを制し、プロテストに合格した都玲華を教える。

本番のパッティングに強くなる練習方法をご紹介

パッティングのミスは、技術不足よりも「緊張による身体の変化」が原因で起こることが多いものです。練習グリーンでは何度も入る2メートルのパットが、本番になると急に外れてしまう。この現象を経験したことがあるゴルファーは少なくありません。

試合やコンペなどの大事な場面では、心拍数が上がり、呼吸が浅くなり、筋肉が硬直します。
特にパッティングのような繊細な動作では、わずかな力みや呼吸の乱れが方向性や距離感に直結します。練習では安定しているストロークも、こうした生理的変化に慣れていないと、本番で再現できないのです。

多くのゴルファーは「メンタルを強くする」ことばかりを考えますが、実は緊張状態に慣れるためには、身体面での準備も欠かせません。

本番の身体の反応(呼吸が速くなり、手先が敏感になる)などをあえて練習で再現し、その状態でパットを打つ経験を積むことが、本番対応力を高める最短ルートです。

そこで有効なのが「火の呼吸」という呼吸法です。

「火の呼吸」とは、短く速い呼吸を繰り返すことで交感神経を刺激し、瞬間的に心拍数と体温を上げる呼吸法です。ヨガや武術でも用いられ、集中力のスイッチを入れたり、身体を活動モードに切り替える効果があります。パッティングに応用すれば、本番に近い緊張状態を安全かつ短時間で作ることができます。

やり方は次の通りです。

①背筋を伸ばし、顔は正面を向く
②鼻から素早く吸い、口または鼻から素早く吐く
③吸う・吐くを同じ長さで行い、1秒に1〜2回ほどのリズムで繰り返す
④5〜10回(約10秒)を目安に行う

これだけで心拍が上がり、手先にわずかな緊張感が出ます。これがまさに本番で身体が感じる状態です。

画像: ナイスインには「火の呼吸」が重要です!(写真はイメージです)

ナイスインには「火の呼吸」が重要です!(写真はイメージです)

こちらを使用しながらの練習ドリルも合わせてご紹介します。

①カップから2mの位置に3球セットする
②打つ直前に火の呼吸を7回行い、心拍を高める
③呼吸後すぐに、間を空けずストローク
④3球すべてを連続で沈めるまで繰り返す

この練習では、心拍数が高い状態や呼吸が整っていない状態でもストロークを安定させる能力が鍛えられます。何度か繰り返すうちに、呼吸や心拍の高まりを「集中力の合図」として受け止められるようになり、試合のプレッシャーに強くなります。

パッティングは、技術だけでは本番に勝てません。火の呼吸を活用し、緊張そのものを味方に変えていきましょう。

文/平田智(パッティング専門コーチ) 
取材協力/エンジョイゴルフ福岡

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