「ラインは左脳で読んで打つときは右脳を使う」と話すのは、25年の開幕戦から活躍中の菅楓華らを指導する平田智コーチだ。右脳と左脳の役割と使い分けを教えてもらおう。

教えてくれた人/パッティング専門の平田智コーチ

画像: 平田智パッティング専門コーチ(左)右は菅楓華

平田智パッティング専門コーチ(左)右は菅楓華

エンジョイゴルフ ゴルフスタジオ&パッティングラボラトリー福岡でツアープロからアマチュアまで教える。女子プロの菅楓華や昨年、アマチュアでステップ・アップ・ツアーを制し、プロテストに合格した都玲華を教える。

パッティングにおける右脳と左脳の使い方

ゴルフのパッティングは、単純にボールを転がすだけの作業に見えますが、実際には「論理的な分析」と「感覚的なイメージ」の両方が欠かせません。

ここで注目したいのが、人間の脳の働き方です。一般的に左脳は言語や数値、分析的な処理を得意とし、右脳は直感や空間認識、イメージ力を司るといわれています。

ではパッティングにおいて、それぞれの脳をどのように活用すべきでしょうか。

左脳の役割:論理と分析

ラインを読むとき、傾斜の角度や芝目の方向を考え、距離感を数値や経験則で整理するのは左脳の働きです。「この傾斜ならカップの右カップ半分を狙おう」「下りだから強さは普段の半分で」といった判断は、論理的なプロセスが支えています。つまりアドレスに入る前の準備段階では、左脳をフル活用して状況を整理することが重要です。

画像: 右脳と左脳の使う割合を視覚化できるフォーカスバンドのアプリで訓練する選手も多い

右脳と左脳の使う割合を視覚化できるフォーカスバンドのアプリで訓練する選手も多い

右脳の役割:感覚とイメージ

一方で、ストロークに入った後は左脳的な思考をできるだけ止め、右脳の感覚に任せることが理想です。ボールが転がっていくイメージ、タッチの感触、カップに吸い込まれる映像を鮮明に思い描くことが右脳の得意分野です。プロのパッティングを観察すると、打つ直前に遠くのカップをじっと見つめてから視線を戻す動作がよく見られます。これは無意識に右脳を働かせ、感覚を優先するためのスイッチなのです。

バランスが崩れるとどうなるか

左脳ばかり使うと「考えすぎ」になり、ストロークがぎこちなくなります。逆に右脳ばかりでは「感覚頼み」になり、ミスの原因が整理できません。大切なのは左脳と右脳の切り替えをルーティン化することです。

そこで論理的な分析(左脳)から感覚的な実行(右脳)への切り替えを習慣化するドリルを紹介します。

練習ドリル:左右脳切り替えルーティン

①ボールの後ろに立ち、ラインと距離を分析(左脳)。「どこに打つか」「どれくらいの強さか」を明確に言葉にする
②アドレスに入る前に深呼吸を1回。思考を止める合図とする
③アドレスに入ったら、ボールが転がる映像を頭の中で描き(右脳)、そのイメージを頼りにストローク
④打った後に「分析(左脳)」と「感覚(右脳)」の切り替えができていたかを自己チェック

【ポイント】
・声に出してもよいので「ここから右脳」と合図を作ると切り替えがしやすい。
・毎回同じ流れで繰り返すことで、本番でも自然に使えるルーティンに育ちます。

右脳と左脳のバランスを意識することは、単にパッティングの精度を高めるだけでなく、メンタルの安定にもつながります。考える時間と感じる時間を明確に分け、両方の力を引き出すことが、安定したパフォーマンスへの近道ですので是非お試しください。

文/平田智(パッティング専門コーチ) 
取材協力/エンジョイゴルフ福岡

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