教えてくれた人/パッティング専門の平田智コーチ

平田智パッティング専門コーチ(左)右は菅楓華
エンジョイゴルフ ゴルフスタジオ&パッティングラボラトリー福岡でツアープロからアマチュアまで教える。女子プロの菅楓華や昨年、アマチュアでステップ・アップ・ツアーを制し、プロテストに合格した都玲華を教える。
体重移動をなくすとパットは劇的に安定する
パッティングの安定感を高めたいと考えるアマチュアゴルファーにとって、特に意識してほしいのは「体重移動をなくすこと」です。
ドライバーやアイアンショットでは体重移動によってパワーを生み出し、遠くに飛ばすことが求められます。しかしパットは真逆で、余計な体の動きを徹底的に排除し、最小限の動作でボールを転がすことが理想とされます。特にストローク中に頭や下半身が揺れてしまうと、フェース面がブレて芯を外す原因となり、方向性も距離感も大きく乱れます。
プロのパッティングを観察すると、インパクトからフォローまで下半身や頭がほとんど動かないことに気づきます。彼らは「動かないことの重要性」を熟知しているのです。つまり、パットにおいては身体を動かさないことが、安定感を生む最大の要素になります。
では、どうすれば体重移動をなくせるのでしょうか。まずセットアップの段階で「両足に均等に体重を乗せる」ことが基本です。つま先やかかとに偏ると、ストローク中に無意識の揺れが起こりやすくなります。親指の付け根、小指の付け根、踵の3点に均等に重心を感じることで、下半身の安定が得られます。

下半身を動かさず肩の回転でストロークする
次に意識したいのは「肩の回転だけでストロークする」という感覚です。手や手首を使って打とうとすると、自然に体の揺れや体重移動が発生します。肩や首の付け根辺りを支点とした振り子運動を徹底することが、体重移動を抑えるコツです。
体重移動をなくすことは、特にショートパットで大きな効果を発揮します。30cmの動きでミスが出てしまうのは、わずかなブレが方向性を狂わせているからです。逆に下半身を固定できればストロークの再現性が高まり、「入るかどうか」ではなく「入って当然」と思えるくらいの安定感が生まれます。パッティングにおいて大切なのは余計な力を加えないことですので、身体を動かさないことこそが上達の近道なのです。
練習ドリル:タオル踏みドリル
①タオルを縦長に畳んで床に置く
②土踏まずの位置でタオルを踏むように立ち、アドレスを作る
③この状態でボールを打つ(ご自宅の場合、パターマットがなければ素振りでも可)
タオルを踏むことで足元が少し不安定になり、左右や前後に身体が揺れるとすぐに感覚で分かります。この練習を行い安定したパッティングストロークに繋げましょう。
文/平田智(パッティング専門コーチ)
取材協力/エンジョイゴルフ福岡