さぁコースで転がしてみよう!
ランニングアプローチを成功させるための最初のポイントは“番手選び”だと小林プロは言う。
「前述したとおり、ロフトが多くなると正確にボールをコンタクトするのが難しくなります。打つたびにコンタクトの仕方が変わるようでは一定の転がりにならないので距離感は出せません」
しかしロフトが立ち過ぎていると、打ち出しが低過ぎて必要なキャリーが出ずに芝の抵抗を受けてしまうことがある。
「そこでお勧めしたいのが8番アイアンです。実はアイアンの形状というのは7番と8番で大きく変わります。7番まではフルショットが中心になるので直線的でシャープな形状。8番からはトップラインにウェッジのような丸みが付いて、構えたときにボールを包むようなやさしさを感じる形状になります。これはフェースをやや開いたり、閉じたりしてコントロールショットを打つ前提の形状です。ですので、まずはロフトがある程度立っていて、やさしさを感じる形状の8番アイアンをお勧めします。もちろん9番やPWのほうがやりやすいという人はそれでも構いません。でもどの番手がいいのかわからないのであれば、8番アイアンで試してみましょう」
番手選びが重要だ!
「8番アイアンがお勧めです!」
転がしにお勧めなのが8番アイアン。理由はその形状にある。アイアンは7番までは直線的だが、8番からはトップラインに丸みがつき、ボールを包むようなやさしさが感じられるからだ

構え方のポイントは、クラブを短く握り、スタンスは狭め、そしてボールに近く立つ。アプローチの基本どおりのセオリーだ。
「ボール位置は真ん中、あるいは左目の下で、ほんの少しハンドファースト。スタンスはオープンにする必要はありません」
そしてランニングアプローチの最大のコツが「インサイドアウトに振る」ことだ。
「地面にあるボールを打つので、ヘッドは上から入れる必要があります。でも入射角が鋭角になるとダフリやトップのリスクが高くなる。つまり“限りなくレベルに近いダウンブロー”でボールをとらえたい。それにはインサイドアウトで振るのが一番いいということです。ドローボールを打つイメージで、ややインサイドアウトにストロークする、これが最大のキーポイントです。慣れてきたら9番やPWを使うことで、ランや距離感の調整をしてみましょう」
この打ち方を覚えれば、ダフリやトップの大きなミスがなくなるだけでなく、スコアメイクの大きな武器になるはずだ。
「ランニングアプローチ」の構え方“4つのポイント”
ポイント①
通常より短めに握る
アプローチの基本だが、クラブは短めに握るのが正解。グリップとシャフトの境目のギリギリを握ろう。

グリップの先端を握る
ポイント②
スタンス幅は狭めにする
これもアプローチの基本だが、スタンスはできるだけ狭めにする。そのほうが軸がブレにくいからだ。

スタンスは狭く
ポイント③
ボールの近くに立つ
体とボールとの距離が近いほうがアップライトに振れる。アップライトのほうがフェースの開閉が緩やかになる。

ボールに近く立つ
ポイント④
体重をやや左足にかける
地面にあるボールを打つのでヘッドはやや上から入れたい。体重を左足にかけるほうが上からとらえやすい。

体重は左足にかける
ランニングアプローチのコツ
「ドローを打つイメージでインサイドアウトに振る」

ドローのイメージ
【point1】右手首の角度をキープしながら打つ!
アプローチで一番やってはいけないミスが“ボールをすくおう”とすること。アドレスでできた右手首の角度をフォーローまでキープしたままストロークすることを心掛けよう。

右手首の角度はキープ
【point2】入射角が緩やかになりダフリ&トップが減る!
アウトサイドイン軌道はヘッドの入射角が鋭角になるが、インサイドアウトで振れば入射角は緩やかになりバウンスも使えるので、ダフリやトップのミスは出にくくなる。

緩やかな入射角で
【応用編】慣れてきたらクラブを替えて転がしてみよう!
8番アイアンでの転がしに慣れてきたら、状況によってクラブを変えてみよう。グリーンが速くて、8番だとオーバーすることが多いという場合は9番やPWに持ち替えることで距離感を調整できる。またエッジまでの距離があり、比較的ピンが近い、つまりあまりランを出したくないという場合も9番やPWに持ち替えるのが有効だ。状況に応じてクラブを選択しよう!

クラブを変えて試してみよう
PHOTO/Yasuo Masuda
THANKS/葉山国際カンツリー倶楽部
※2025年9月30日号 週刊ゴルフダイジェスト「はじめてのランニングアプローチ」より