ベストスコア更新できるかもしれない…と思っても最終的にはいつ通りのスコアになることは少なくない。どうすればベストスコア更新できるのか。プロゴルファーも指導するメンタルコーチ・池努に聞いた。

「ベストスコアを出した自分ならどうプレーするだろうか?」

今日のゴルフはかなり調子がよく、これまでのベストできている。後は残り3ホールという状況。しかし、「この調子で行けばベストスコアが出るぞ!」と思ったとたんにいつもとは違う緊張感やあせりが襲ってきて、最終的にはいつもの自分らしい平均的なスコアでホールアウト。

「なぜいつもベストを前にするとうまくいかないんだろう……オレって持ってない……」と心の中でつぶやいた経験は、ゴルファーであれば誰もが一度は経験されているかと思います。

昨年度サポートしていたプロゴルファーも同じでした。サポート当初の会話の中で「自分は試合では5アンダー以上は出ないんすよね。なぜか4アンダーでおさまるんすよ。どうすれば5アンダー以上出せますね?」と相談されました。

そのプロゴルファーに会話の中である提案をしました。そのやりとりの一部を紹介します。それは、以下のような会話でした。

池:「試合以外のラウンドではどうなんですか?」

選手:「いや、普通に出るときは出ますよ。5、6アンダー」

池「そうなんですね。だったら、試合でも5アンダー以上出せるじゃないですか」

選手:「いやいや、試合は別ですよ。試合では4アンダー以内で終わってしまうんすよ」

池:「そこですよ~。普段のラウンドも試合も同じゴルフなのに、どうして試合では4アンダーまでと決めてしまってるんですか?」

選手:「やっぱり、練習と試合は違うんで、試合で結果が出ていないから5アンダー以上は出ないと思ってしまいます……」

池:「そうですよね。今は『試合では5アンダー以上出ない』と思い込んでいるから、無意識に思考やイメージ、感覚が4アンダー以内のスコアに対して、帳尻を合わせている可能性がありますね」

選手:「そうか~、なるほど、自分の思いこみがスコアに影響している可能性があるわけですか。どうすれば実際の試合でその思いこみに対処できますか?」

池:「やってみてほしい方法が『逆算質問』です。たとえば、あと残り3ホールをイーブンであがればベストスコアがでるという状況で、次のように自分へ質問をしてみてください。『ベストスコアを出した自分ならどうプレーするだろうか?』と。その問いに対しどんな答えが出てきますか?」

画像: ベストスコアを出した自分ならどうプレーするか“逆算質問”してみよう(撮影/矢田部裕)

ベストスコアを出した自分ならどうプレーするか“逆算質問”してみよう(撮影/矢田部裕)

選手:「『ベストスコアを出した自分ならどうプレーするだろうか?』ですね…。そうですね、『いつも通り1ショットごとのルーティンに意識を向けてプレーするだけ』や『今、できるワンショット、1つのプレーを丁寧に積極的にプレーする』というような答えが出てきました」

池:「素晴らしいです。そのあなたの答えは過去の実績や経験からくる思い込みに左右されていない『今にフォーカスした行動目標』になっています。その行動目標に集中することが最終的にベストスコアにつながると思いますよ。」

選手:「そうか、逆算質問をしてみるわけですね。そうすると自然といいイメージも出てきそうです。やってみます!」

なぜ、選手に逆算質問を提案したのかというと、私たちの脳は質問をされるとGoogleの検索エンジンのように質問に対する答えを探してくれるからです。

「最近一番良いプレーができたラウンドは?」と質問すれば脳はその答えを出してくれ、良いゴルフのイメージが浮かびますし、逆に「最近、一番良くないプレーをしたラウンドは?」と質問すれば脳はその答えを出し、良くないゴルフイメージが浮かびますよね。

今回選手に「ベストスコアを出した自分ならどうプレーするだろうか?」と質問したのは、選手に「今、集中するべきポイントやマネジメント」に意識をフォーカスしてほしかったからです。この質問をすることで選手は自然と適切なマネジメントや成功プレーのイメージを描いていることになり、そこに集中しやすくなります。そうすると、過去の経験や実績からくる思いこみにも左右されにくくなります。

実際に、そのサポート選手は2カ月後のQT(ツアー出場権を争う予選会)で1日の自己ベストの「6アンダー」を出すことができました。

ベストスコアが迫った状況だけでなく、フェアウェイが狭いホールや苦手な距離のアプローチ、朝イチのティショットといった状況でもこの「逆算質問」は使えます。

「このホールをパーで終えた自分ならどうマネジメントするかな?」

「自然体のショットを打てた自分は何にポイントを置いている?」

「うまくいった自分は今、何を意識するだろう?」

というように「うまくいった自分ならどうする?」と問いかけてみることをおすすめします。

ぜひ、ラウンドやコンペ、試合で試してみてくださいね。

This article is a sponsored article by
''.