週刊ゴルフダイジェストの連載「プロのスペック」を担当する編集T。ここ2年、トッププロのクラブスペックを調査してきたなかで、気になっていたのがウェッジのシャフトフレックス。プロのクラブをまとめ直してみたら…。
画像: S・シェフラー ◎5I~PW:テーラーメイドP7TW/DGツアーイシュー(X100) ◎AW・SW:ボーケイデザインSM8(50・56度)/DGツアーイシュー(S400)◎LW:ボーケイデザインWWプロト(60.5度)/DGツアーイシュー(S400)

S・シェフラー ◎5I~PW:テーラーメイドP7TW/DGツアーイシュー(X100) ◎AW・SW:ボーケイデザインSM8(50・56度)/DGツアーイシュー(S400)◎LW:ボーケイデザインWWプロト(60.5度)/DGツアーイシュー(S400)

ひと昔前は、「ウェッジは飛距離よりも前後左右の正確性。そのブレを減らすため、ウェッジのシャフトは、アイアンよりも硬め」というのが定説のひとつだった。

しかし現在、スコッティー・シェフラーは、テーラーメイドP7 TWのアイアンのシャフトにX100を挿しているが、3本のボーケイデザインSM8のフレックスはS400。今年の全米プロチャンピオンのブルックス・ケプカは、スリクソンのアイアンZX7 MkⅡはX100なのに対して、4本のクリーブランドRTXウェッジはS400といった具合。

画像: B・ケプカ◎4I~9I:スリクソンZX7 MkⅡ/DGツアーイシュー(X100)◎GW:クリーブランドRTX ZIPCORE(46度)/DGツアーイシュー(S400)◎AW~LW:クリーブランドRTX6 ZIPCORE(52・56・60度)/DGツアーイシュー(S400)

B・ケプカ◎4I~9I:スリクソンZX7 MkⅡ/DGツアーイシュー(X100)◎GW:クリーブランドRTX ZIPCORE(46度)/DGツアーイシュー(S400)◎AW~LW:クリーブランドRTX6 ZIPCORE(52・56・60度)/DGツアーイシュー(S400)

ジョーダン・スピースのシャフトはアイアン、ウェッジともに元調子で重めのPROJECT Xだが、アイアンは6.5X、3本のウェッジは6.0S+とワンランク軟めの設定。リッキー・ファウラー、ジャスティン・トーマスも、挿しているシャフトは違えど同様のパターンだ。

画像: J・スピース◎4I~9I:タイトリストT100/PROJECT X(6.5X)◎GW~SW:ボーケイデザインSM9(46・51.5・55度)/PROJECT X(6.0S+)◎LW:ボーケイデザイン2021プロト(60度)/PROJECT X(6.0S+)

J・スピース◎4I~9I:タイトリストT100/PROJECT X(6.5X)◎GW~SW:ボーケイデザインSM9(46・51.5・55度)/PROJECT X(6.0S+)◎LW:ボーケイデザイン2021プロト(60度)/PROJECT X(6.0S+)

改めて調べてみると、そこにはウェッジの名クラフトマン、ボブ・ボーケイの登場が関係していた。ボーケイはウェッジのシャフトについて、「ウェッジは、フルショットではなくコントロールショットを多用する特別なクラブ。当然、ヘッドスピードも落ちる。その世界観のなかでヘッドを感じながら、安定したリズムで振ろうとするならば、シャフトは軟らかめのほうがいい。アイアンと同じフレックスを挿すことはあっても、硬いシャフトを挿すのは絶対に良くない」と説明している。

この考えがPGAツアーに浸透して、今に至ったというわけだろう。考えてみれば、アプローチやコントロールショットでも〝ヘッドの重みを感じて、しなりを使う〟のは、プロはもちろん、上級者になればなるほど頻出するフレーズでもある。

画像: R・ファウラー◎4I~PW:コブラKINGツアーフォージド/KBSツアーC-TAPER125(S+)◎AW~LW●コブラKING(54・56・58度)/KBS 610 WEDGE(S)

R・ファウラー◎4I~PW:コブラKINGツアーフォージド/KBSツアーC-TAPER125(S+)◎AW~LW●コブラKING(54・56・58度)/KBS 610 WEDGE(S)

「実は(現在リハビリで、ツアーを休んでいる)タイガー・ウッズもアイアンがX100で、ウェッジはS400なんですよ」とはボーケイが付け加えたひと言。タイガーのプレーとクラブを間近で見ていた選手たちへの影響も絶大だったはず。

「何を今さら、そんなことは常識」という人もいるかもしれないが、知らなかった人は自分のクラブに置き換えて、例えばアイアンシャフトがSフレックスなら、ウェッジはSRやRという選択だ。(ウェッジの)買い替え予定があるならば、シャフトフレックスを一考する価値ありそうだ。

画像: J・トーマス◎5I~9I:タイトリスト621.JTプロト/DGツアーイシュー(X100)◎GW~SW●ボーケイデザインSM9(47.5・52.5・57度)/DGツアーイシュー(S400)◎LW●ボーケイデザインWW(60度)/DGツアーイシュー(S400)

J・トーマス◎5I~9I:タイトリスト621.JTプロト/DGツアーイシュー(X100)◎GW~SW●ボーケイデザインSM9(47.5・52.5・57度)/DGツアーイシュー(S400)◎LW●ボーケイデザインWW(60度)/DGツアーイシュー(S400)

ちなみに編集Tが調査した範囲では、国内ツアーでは平田憲聖と阿久津未来也の2人が同様の“軟らかシャフト”ウェッジ。平田は、5IからAWがN.S.プロ モーダス³ツアー115のXで、ロフト58度のSWのみ同じシャフトのSを採用。阿久津は、5Iから50度のAWまでがX100で、54度と60度の2本がS300だった。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年10月24日号の記事に加筆したもの ※スペックは9月末時点(PHOTO/Blue Sky Photos)

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