2022年に登場した「ステルス」の登場から早3年。テーラーメイドのカーボンウッド3代目となる「Qi10」が登場。60層カーボンツイストフェースは第3世代となり、新開発フレームとインフィニティカーボンクラウンの採用で、慣性モーメントは前代未聞の1万g・㎠へと進化した。

「ボールスピード」「やさしさ」どちらも欲しい その答えが慣性モーメント10,000g・㎠

世界初のメタルウッドを開発したテーラーメイドは、常に革新的なドライバーを世に送り出してきた。メタルからチタン、カーボン複合、そして2年前にはクラウンとソールだけでなく、フェースにまでカーボンを使った〝カーボンウッド〞「ステルス」が登場。圧倒的なボールスピード、理想的なスピン量、最適な重心配置を実現させた。だがボールスピードを追求すれば、どうしても犠牲になるのがやさしさと寛容性。

昨年の「ステルス2」では、さらなる高初速を実現しながら、寛容性も高く、やさしくなったとはいえ、やはりボールスピードと寛容性は相反するものだと言わざるを得なかった。では、どうすれば両立できるのか?その答えは2024モデル「Qi10」のモデル名にあった。

「Qi10」は「The quest for 10,000 inertia」から付けられており、訳すなら「慣性モーメント1万g・㎠の探求」となる。ここでいう慣性モーメントとは「ヘッド上下」「ヘッド左右」の慣性モーメントの合計のことで、数値が大きくなるほど、上下左右のミスヒットに強くなる。歴代テーラーメイドのドライバーのなかでもやさしい「ステルス2HD」でヘッド左右が5209g・㎠、ヘッド上下が3390g・㎠、合わせて8599g・㎠となる。これを桁違いの1万g・㎠まで高めようというのだ。ヘッド左右の慣性モーメントにはルールで5900g・㎠の上限が設けられているため、一体どのようにして達成したのか。

慣性モーメントを大きくするにはいくつかの方法がある。①重心を深くする ②ヘッドを後ろに長くする③ヘッドを重くする。しかし、それぞれデメリットがあり、①重心を深くすると重心点が高くなりスピン量が増えてしまう。②ヘッドを後ろに長くすると空力性能が悪くなり、ヘッドスピードが落ちてしまう。③ヘッドを重くするとヘッドスピードが上がらない。そこでテーラーメイドは最大の慣性モーメントを得るためにいくつかの取り組みをした。

まずはさらなる軽量素材の使用。クラウン部のカーボン面積を広げたのだ。新たに採用した「インフィニティカーボンクラウン」はクラウン部の実に97%を占めるまでになり、「ステルス2」の79%より2割以上増えている。これによりフェースを支えるチタンフレームは71gとテーラーメイド史上最軽量、ヘッド重量のわずか35%以下にまで減った。

画像: やさしさを追求した結果、ヘッド形状が後方に8㎜伸ばされ、フェースからヒールまでの長さがルール 上限ギリギリの5インチ(12.7cm)に。投影面積は「ステルス2」から10%大きくなった

やさしさを追求した結果、ヘッド形状が後方に8㎜伸ばされ、フェースからヒールまでの長さがルール
上限ギリギリの5インチ(12.7cm)に。投影面積は「ステルス2」から10%大きくなった

CARBON WOOD TECHNOLOGY

次に新たなヘッド形状を採用した。ヘッド後方を従来よりも8㎜後ろに伸ばし大きくしたのだ。とはいえヘッドの大きさには上限があり、トウからヒールまでの幅が5インチ(12・7㎝)、フェースからヒールまでの長さはそれ以下と定められている。従来より8㎜伸ばしたことで、この上限いっぱいの12・7㎝になった。その結果、投影面積は「ステルス2」より約10%大きくなっている。

さらに軽量化で生まれた余剰重量を最適配分。ヘッド後方下部に30gものタングステンウェイトを配置し、ヘッド前方のチタンフレームと合わせてバランスを取っている。その結果、ドライバー史上類を見ない慣性モーメント1万g・㎠を実現したのだ。

これだけの大慣性モーメントになるとオフセンターヒットにも強く、芯を外してもフェースが当たり負けしないのでボールは真っすぐ飛んでいく。そして新たに開発された第3世代60 層カーボンツイストフェースと、新開発フレームによってエネルギー伝達効率も向上しているため、初速も速い。まさに「ボールスピード」と「やさしさ」のどちらも併せ持った新時代のドライバー「Qi10MAX」が誕生したのだ。

クラウンはほぼフルカーボン 投影面積の97%と大部分を軽量なカーボン素材で占める「インフィニティカーボンクラウン」。「ステルス2」の79%から2割以上広くなった

画像: フェース広範囲でのエネルギー伝達効率を高めた第3世代60層カーボンツイストフェースと新開発フレーム

フェース広範囲でのエネルギー伝達効率を高めた第3世代60層カーボンツイストフェースと新開発フレーム

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Qi10 MAX 直進性が高く、高さが出て、とにかく曲がらない

「ヘッドがこれだけ大きいとシャフトが短く感じます。慣性モーメントにこだわって作られていますが、空気抵抗を抑制するソールデザイン『イナーシャジェネレーター』がヒール寄りに設置され、ソール後方のトウ寄りをくぼませて、さらにネックの横にウェイトを配置した『ドローバイアス設計』になっています。

打ってみると、確かにつかまりはいいのですが左に行く感じもない。真っすぐ、ねじれのない球が出ます。とにかく安定していて、すべてを受け止めてくれる感じ。下からインサイドアウトに、外からアウトサイドインに振っても曲がらない。これならスライサーからチーピンに悩んでいる人まで、どんな人でも真っすぐ打てる。これが慣性モーメント1万g・㎠の威力なのでしょう。これだけ安定していたらシャフトを替えればプロでも使う人が出るかもしれません。プロだって緊張したときに曲げたくないのですから。このクラブには無限の可能性を感じました」(勝又プロ)

「3モデルすべてフェースが青色になったことでヘッド全体が締まって見えるように感じました。また、フェース上部に施された白いラインが効いていて、とにかく構えやすいんです。クラウン全体がほぼ一枚のカーボンになったことで、ヘッドに一体感が出ているのも構えやすさの理由だと思います。これはおそらくプロからのフィードバックなのではないでしょうか。

画像1: ロフト角/9.5度、10.5度、12.0度 [試打スペック] 10.5度、Diamana Blue TM50(S)

ロフト角/9.5度、10.5度、12.0度
[試打スペック] 10.5度、Diamana Blue TM50(S)

Qi10 初速が出るのに曲がらない

スタンダードモデルの『Qi10』はテーラーメイドの伝統的な洋ナシ型のヘッドで、この顔が好きな人は多いと思います。試打したシャフトは自分にはやさしめでしたが、ヘッドがしっかりしていて、ボールスピードが速い。操作性がある分、『MAX』ほどではありませんが、明らかに曲がりにくい。わざと芯を外してヒール寄り、トウ寄りで打っても、フェアウェイに収まる感じ。大きいヘッドに抵抗がある方は、このスタンダードモデルでも大慣性モーメントの恩恵が十分に受けられます。

画像2: ロフト角/9.5度、10.5度、12.0度 [試打スペック] 10.5度、Diamana Blue TM50(S)

ロフト角/9.5度、10.5度、12.0度
[試打スペック] 10.5度、Diamana Blue TM50(S)

Qi10 LS 操作性能が高く上級者向き

『Qi10LS』は、いち早くマキロイやタイガーが使用し話題となったモデル。コンパクトなヘッドでシャフトも『MAX』やスタンダードと異なりしっかりしています。顔は真っすぐで〝ザ・上級者〞という感じ。一段と洗練され、さらに精悍な顔つきになりました。そのうえ、慣性モーメントも大きくなっているので、ミスがミスになりにくい。さすがはプロが使うモデルなので完成度が高いですね。ただし、アスリートモデルなのでHS45m/s以上ないと打ちこなすのは難しいでしょう。

慣性モーメントは目に見えない数値ですが、『Qi10』を打ってみれば従来のドライバーとの差は歴然。正直、ここまで差が出るとは思ってもいませんでした。クラブの進化をはっきりと感じられるドライバーです」(勝又プロ)

画像: ロフト角/8.0度、9.0度、10.5度 [試打スペック] 10.5度、Diamana Blue TM50(S)

ロフト角/8.0度、9.0度、10.5度
[試打スペック] 10.5度、Diamana Blue TM50(S)

Qi10

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