女子ツアー黄金世代の実力派にして天然キャラクター・小祝さくら。そのゴルフ回路を覗く異色エッセイ。第34話、切り替え上手の褒められ下手。

小祝さくらは、切り替えが上手い。これは、ゴルフにも好影響である。「切り替えはめちゃくちゃ早くて、ダメでもいいほうに切り替えるし、良くてもすぐに切り替えるし。まあ、ダメならしょうがないでしょう、とあきらめも早いんだと思います。特別意識しているのではなくて、性格だと思います」

感情の起伏がないように見えるのも〝性格〟だから? 「そうですね……でもたとえば、優勝争いをしているときなんかは、プレーのスピードはできるだけ変えないようにはしています。やっぱり、いろいろ意識しちゃったり考えて遅くなったりするから。考えすぎちゃうのはよくないというか、嫌なんですよ。決めたらすぐ打つ、という感じで。それはいつも一緒にしようと気を付けてはいますね」

考えていないようで、いろいろ考えて行動している。それが小祝さくらだ。キャディの小畑貴宏氏と、ティーイングエリアで楽しそうに話をしている姿を見ることも多い。これも切り替えのひとつなのだろう。

「試合中のティーイングエリアでは、ゴルフの話もするし、全然関係ない話もしますね。さくらプロに関してはやっぱり、ゴルフ以外のことでいうと、何を食べるとか、どこどこの何が美味しいとかの話が多い気がします(笑)。でも、調子がいいときってあまりくだらないことは言わないほうがいいですよね。いい集中をしているので、それをそがないように……」

画像: キャディの小畑氏と、いつも何を話しているのか気になりますよね。会話も、上手な試合運びの重要要素なんです

キャディの小畑氏と、いつも何を話しているのか気になりますよね。会話も、上手な試合運びの重要要素なんです

「調子が悪いときは、あまりゴルフの話をしても窮屈になってプレッシャーになってしまうので、しないことが多い。ミスのあとには、そのミスの度合いにもよりますけど、『しょうがないよ』って声掛けすることが多いと思います。細かいことを言ってもしょうがない。褒められたい選手は多いんですけど、さくらプロは、褒めたら逆に『そうでもないです』という感じでくるので(笑)。あまのじゃく気味だし、褒められるのも得意じゃなさそうですからね」と小畑氏。

褒められるのが嫌いなのは、自己評価が低いことにもつながる。「私、変に自信あるところとないところがあって……矛盾してるんですよ」。プロ入り6年、ツアー9勝、5シーズン連続賞金ランク8位以内という実績を誇る小祝さくら。その天然キャラと優しい性格を応援してくれるファンも数多くいる。

「私、そんなに人気ないですよ。でもファンの方の応援は嬉しいです。それに結局、自信って、練習をして付けるしかないんですよね」。こういう生真面目さが、ますますファンを〝とりこ〟にする。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年2月20日号より(PHOTO/Hiroaki Arihara)

This article is a sponsored article by
''.