『Qiアイアン』は5番なのに6番アイアンのような安心感
「エッ!? アイアンですか! すっかりドライバーの試打だと思ってました(笑)」と田中プロ。いきなり肩透かしを食らわせてごめんなさい! しかし、試打してすぐに「これ楽しい、最高!」となったのだが……。
今回、Qiアイアン、ステルスアイアンともに5番、7番、9番を用意。まずは前作にあたるステルスアイアンの5番から打ってもらった。
「顔を見るとすごく球がつかまりそうです。ややグースだからかな、と思います」(田中プロ)
ドローが持ち球の田中プロだけに、弾道を見るとややつかまる傾向が強い。グリーンまで200ヤード地点から乗るボールもあれば、グリーンの左に外すショットも散見された。
「ロフトは……、21度ですか。確かに球の強さを感じますね。非常に飛ぶアイアン。それは間違いないです」
続いてQiアイアンの5番を試打。
「これ、構えやすいです。ロフトは同じ21度なんですか? ロフトがもっとあるように感じます。こういうロフトが立ったアイアンって、5番でも4番に感じてしまう傾向があるんですが、これは逆に6番アイアンの雰囲気で構えられる。気分的に非常に楽です」
打つと、前作のステルスアイアンよりも明らかに曲がり幅が少なく、9割近くがグリーンをとらえた。
「これ、めちゃくちゃいい! イメージした放物線通りに飛びます。出球の高さが揃うので、結果的に距離も合います。弾道も21度のロフトとは思えないほど高いから、ピンが手前でも止まる。200ヤードのアプローチ、という感覚。それくらい力感がいらないです。ボールスピードも速く感じなくて、フェースにくっつく軟らかさのほうが先にくるから、運ぶ感覚。ちょっと衝撃です」
ステルスアイアンがフェース面でしっかり“打つ”という感覚なのに対し、Qiアイアンはソールを地面に“当てる”感覚が強くなるらしい。
「ステルスアイアンは面で弾いて飛ばす感じ。一方でQiアイアンは重力でクラブを落としてソールがアドレスの位置に戻ればOKという感覚。最下点が揃うので、結果的にロフトも一定になり“運ぶ”ように打てます。ロフトの見え方などがそうさせるのかなと思います」
田中プロならではの鋭い感覚ではあるが、5番で高い弾道で運ぶように打てれば、多くのアマチュアにもプラスになる。
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アイアンの小さなヘッドに最新のテクノロジーがてんこ盛り
Qiアイアンに課せられた使命は、“真っすぐ遠くへ”飛ばすこと。特に“真っすぐ”が重要で、多くのアマチュアゴルファーは球を右に曲げる傾向が強い。それは番手が長くなればなるほど顕著だ。右に力なく飛んで、グリーンに届かずバンカー……。なんていうことが頻発するわけだが、右に曲がるということは当然飛距離もロスする。ボールをつかまえて真っすぐ飛ばすことが、狙った距離まで届かせ、ひいてはスコアメイクにつながるというわけだ。
Qiアイアンには、真っすぐ飛ばすテクノロジーが数多く秘められている。
【新統合システム設計】
直進性、弾道の高さ、正確なショットを各番手において発揮できるように開発されたシステム。番手別に最適化されたフェースデザイン、キャップバック、貫通型スピードポケットなどのテクノロジーを統合的に導入。フェースデザインを例に挙げると、5番は直進性と弾道を最適化するために、打ち出し角を上げる設計。7番はボール初速と芯を最大化するために、柔軟性を上げた設計。9番は飛距離とスピン量をコントロールするために、スピンを増やし操作性と再現性を確保する設計だ。
【キャップバックデザイン】
キャップバッグデザインを搭載した構造は、中空とキャビディバッグのいいとこどり。重心位置を最適化することに加え、「振動減衰システム」との相乗効果で、インパクト時の不要な振動を抑え、心地よい打感、打音に。
【最適な重心設計】
セット全体で番手毎に最適な重心位置に設計することで、各番手で求められる性能を向上。ロングアイアンでは、直進性と弾道を適正化、ミドルアイアンでは、大きなスイートエリアで高初速に、ショートアイアンでは、スピンを増やして再現性を高めるように設計。セット全体で最適なパフォーマンスと真っすぐな弾道を実現する。
これらにより、他のモデルに比べて圧倒的に右へのミスを防ぎ、直進性が高くなっている。
7番アイアンは、さらに直進性の高い打球でピンそばに着弾!
では再び試打に戻ろう。続いては7番アイアン同士の比較(ロフトはどちらも28度)。この番手になると前作のステルスアイアンも球がまとまってくるが、Qiアイアンのほうが弾道が“直線的で曲がりが少ない”のは明らか。結果的にピンに絡む確率もQiアイアンのほうが圧倒的に高い。
「Qiアイアンのほうが若干フェース面が広いですね。その分、安心感があります。5番を打った時にも感じましたが、ソールの戻りや当たり方が一定なので、ロフトが揃って距離も方向も安定します。打感の軟らかさも手伝って、運ぶ感覚が強いです。とにかくめちゃくちゃやさしいので、真っすぐ飛ばすことが非常にやりやすい。基本的にその性能で満足なのですが、気持ちに余裕があるので、コントロールしたくなるし、それができる。これ楽しい、最高ですね!」
Qiアイアンの9番は“1ヤード刻み”で狙える感覚になる
9番になると、ステルスアイアンよりもQiアイアンのほうが7番との差を感じるという。
「Qiアイアンほうが、番手ごとの“役割”に応じた設計なんだと思います。ネックの設計も7番と9番で変化させている。ロフトは37度と立っていますが、“飛ばす”という感覚はない。より出球の高さを揃えて距離のブレをなくす、しっかりスピンを入れる、というショートアイアンの本分に特化しています。運ぶ感じがさらに強くなって、それこそ1ヤード刻みで狙っていけるんじゃないかと思うほど。いや、このアイアン本当に使いたくなる!」
田中プロのグリーンをとらえる曲がりのない弾道、そして楽しくて止まらない試打の様子を見ていると、こちらも試したくてウズウズしてくる。そして、無理に難しいアイアンを使う必要がどこにあるのだろうか、とも。
ツアーで人気のQi10シリーズのドライバーには、Pシリーズアイアン、その選択ももちろんアリだが、同シリーズの『Qiアイアン』を試してみると、アイアンに対する価値観が一変するかもしれない。ぜひ一度試打してみてはいかがだろうか。
【プチアイアンレッスン】
振る中で“ソールを落とす”意識が大事です
せっかくなので、田中秀道プロにアイアンをうまく打ちこなすポイントを聞いてみよう。
「アマチュアの方を見ていると“振る”“当てる”意識が強すぎることが多いですね。そうすると、上体が突っ込んだり、クラブヘッドや手元を真っすぐ目標に押し出してしまい、結果的に軸がブレて正確にミートできなくなります。
もちろんクラブは振るんですが、振る中で重力を使って腕やクラブを落とす意識が大事。それによってソールが毎回同じ位置(最下点)で揃うのです。ポイントは腰を回しながら落とす動きを少し入れること。おへそあたりが動いてくる感じがいいですね。そうすることで、左右がシンメトリーになり、軸のブレがなくなります。
特にQiアイアンのように当たれば飛んでいくような“頑張らなくていい”アイアンは、クラブの重さを感じて、最下点にソールを落とす感覚を持つといいですよ」
撮影/三木崇徳 協力/瑞陵ゴルフ倶楽部
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