テーラーメイドは2022年にそれまでのチタンフェースに代わって、カーボンフェースを採用した。カーボン素材が優れていることを認めながらも、追随するメーカーがないことからも、カーボンフェース、カーボンヘッドに対する答えはいまだ出ていない状態と言えるだろう。そのような状況の中で、テーラーメイドはなぜカーボンにこだわるのか? そして今回紹介する『Qi10 ドライバー』は従来のカーボン設計ドライバーと何が異なるのか?クラブ設計家の松尾好員氏とともに検証してみた。

『ステルス2』よりもつかまった球が打てる

ここからは実測データをもとに凄腕シングルでもある松尾氏に、前作の『ステルス2』と比較しながらクラブ分析と試打レポートをしてもらいます。試打および計測ヘッドはロフト角10.5度、シャフトは「標準ディアマナ BLUE TM 50」のフレックスS。掲載数値はすべて実測値となります。

クラブ長さが『ステルス2』より短くなったことで振りやすくなった

ヘッドを見ると前作の赤から変更された青のフェースが目に飛び込んできます。ヘッドの形状は横幅が広くなっており、従来のテーラーメイドらしい縦長の顔付きではなく、少し丸みを帯びているのが特徴的です。『ステルス2』同様にオープンフェースとフラットなライ角の組合せで、「球をつかまえ過ぎない」イメージが湧いてきます。

クラブ長さは45.25インチと「やや長く」、クラブ重量は305.4グラムと「やや重い」ため、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントは289万g・㎠と「やや大きく」なっています。計測数値のみで推察するとドライバーのヘッドスピードが44㎧くらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすくなっています。

明らかなトウ寄りの重心だった『ステルス2』と比べると、『Qi10』は少しフェースの中央寄りの重心位置になっています。ヘッドの慣性モーメントは『ステルス2』よりも大きくなっているので、芯を外したミスショットへの対応力は高くなっていると言えます。

画像: 重心位置は中央寄りになっている

重心位置は中央寄りになっている

実際に試打したところアドレスではオープンフェースとフラットなライ角の組合せの効果で球をつかまえ過ぎないイメージが湧いてきます。またヘッドの後方が高いハイバック形状なので、インパクト付近をレベルにスウィングしやすそうです。
シャフトは軟らかめの設定で「ヘッドスピードが40㎧」くらいのゴルファーでも十分扱えそうです。『ステルス2』よりもクラブ長さが短くなり、スウィングウェイトも小さくなっているので、『Qi10」のほうが振りやすいと感じるでしょう。

※週刊ゴルフダイジェスト 2024年3月19日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より

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