テーラーメイドは2022年にそれまでのチタンフェースに代わって、カーボンフェースを採用した。カーボン素材が優れていることを認めながらも、追随するメーカーがないことからも、カーボンフェース、カーボンヘッドに対する答えはいまだ出ていない状態と言えるだろう。そのような状況の中で、テーラーメイドはなぜカーボンにこだわるのか? そして今回紹介する『Qi10 ドライバー』は従来のカーボン設計ドライバーと何が異なるのか?クラブ設計家の松尾好員氏とともに検証してみた。
画像: 【試打クラブスペック】ロフト角●10.5度 ライ角●56度 体積●460cc 価格(税込)●9万5700円 ※メーカー公表値

【試打クラブスペック】ロフト角●10.5度 ライ角●56度 体積●460cc 価格(税込)●9万5700円 ※メーカー公表値

「フルカーボンヘッド」の完成は近い?

テーラーメイドは「飛んで曲がらない」ドライバー作りをスローガンとして掲げ、その鍵としてカーボン素材を採用した。その理由は従来の素材と比較して「エネルギー伝達の良さ」と「軽量」という2つの理由からだった。

テーラーメイドは、長い研究の中でカーボンはインパクトのエネルギー伝達率が高いことを解明。そしてチタンやステンレスといった従来の素材よりも軽いため、フェースにカーボンを使用することで余剰重量が生まれ、ヘッド設計に自由度が増すと考えた。
具体的な設計はヘッド後方にカーボンよりも比重が大きい異素材を配して、重心深度を深くし、慣性モーメントを高めた。さらに後方に重心が移ることでフェース面が拡大でき、芯を外したときのミスショットへの対応力を高めた。

では、いつからテーラーメイドはカーボンに注目したのか?
クラブ設計家の松尾好員氏によると「2012年のグローレリザーブからカーボンフェースにチャレンジしはじめた」という。

『グローレリザーブ』は、日本を含むアジアの一部地域で発売されたドライバーで、白いヘッドとカーボンによって軽量化が施された。大きなフェース面積とスイートエリアの拡大を特徴としたドライバーだったが、時代が早すぎたのか? まだカーボンの特性を生かしきれなかったのか?
いずれにしても市場の反応は思わしくなく、むしろチタンフェースの前作(2010年)『初代グローレ』が再注目を浴び、2012年の『グローレリザーブ』を跳び越すように、2014年の『グローレF』が大ヒットすることになった。

その10年後の2022年に『ステルス』が登場する。黒いヘッドに赤の改良された60層カーボンフェースが搭載された。それは『M3/M4』から採用された打球の曲がりと弾道の安定感させる「ツイストフェース」とカーボンを融合させた「カーボンツイストフェース」だった。

2023年モデルの『ステルス2』は、カーボンの使用率が他素材を上回ったカーボン優位となり、『Qi10』はクラウンの97%をカーボンにすることで『ステルス2』を超える余剰重量を生み出すことに成功した。松尾氏の分析によれば「ステルス2よりも慣性モーメントが高くなったため、やさしさが向上した」と言う。

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