テーラーメイドはカーボン使用率をこれまで以上に高めた『Qi10』シリーズで「飛距離とやさしさの両立」を掲げた。ツアープロ、上級者モデルとなる『Qi10 LS』はどのような進化を遂げているのか? 『ステルス プラス』、『ステルス2 プラス』と比較しながら、クラブ設計家の松尾好員氏とともに検証してみた。

「スライドウェイト」の位置がトウ寄りになった

ここからは実測データをもとに凄腕シングルでもある松尾氏にクラブ分析と試打レポートをしてもらいます。試打および計測ヘッドはロフト角10.5度、シャフトは「DIAMANA SILVER 50」でフレックスSです。掲載数値はすべて実測値となります。

『Qi10 LS』は『ステルス プラス』、『ステルス2 プラス』よりもクラブ長さが短くなっている

ヘッドを見てみると全体的に『ステルス プラス』、『ステルス2 プラス』と同様の面長形状をしています。アドレスではオープンフェースとフラットなライ角度で球がつかまるイメージはありません。ソール面にはスライド式ウェイトが搭載されており、弾道調整ができることが特徴のひとつです。

クラブ重量は308.6グラムと「やや重く」、クラブ長さは45.25インチと「やや長く」なっています。スウィングウェイトがD2.2と「やや大きい」ので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントは293万g・㎠と「大きく」なっています。計測数値から推察すると、ドライバーのヘッドスピードが46〜47㎧くらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすくなっています。 

実際に試打したところ、ヘッド後方が高いハイバック形状なので、インパクト付近をレベルにスウィングすることができれば厚いインパクトが期待できます。シャフトはやや軟らかめでしたが、適度なしっかり感があり、ヘッドスピードが43㎧くらいのゴルファーでも十分扱えそうです。また『Qi10ドライバー』(標準モデル)のBLUEシャフトよりも弾道のばらつきが少ない印象がありました。

『ステルス プラス』、『ステルス2 プラス』よりもクラブ長さが短くなり、スウィングウェイトも小さくなっているので、明らかに振りやすくなっているのも『Qi10 LS』の特徴です。ソール面のスライドウェイトがヘッドのトウ寄りに配置されており、ウェイトがニュートラルの位置でもフェース中央よりトウ側にスイートスポットがあります。これによってフェース中央で球をヒットすると打球にはフェード回転がかかりやすくなっている、いわゆる「フェードバイアス」のヘッドの特徴が出ています。

画像: スイートスポットがトウ寄りに設定されている”フェードバイアスヘッド”だ

スイートスポットがトウ寄りに設定されている”フェードバイアスヘッド”だ

『Qi10』シリーズの中ではヘッドの操作性を表すネック軸回りの慣性モーメントが一番小さくなっているので、その時の状況に応じてインテンショナルに弾道を操作しやすく、中段道で飛ばせるドライバーといえるでしょう。

※週刊ゴルフダイジェスト 2024年4月9日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より

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