「妻と息子の前で優勝するのが夢だった」というケプカは、今回初めて妻ジェナさんと昨年7月に生まれたクリュー君が見守るなか、オーストラリアのキャメロン・スミスとマーク・レイシュマンに2打差をつけ勝利をつかみ、「最高にクールな気分だ。一生の思い出になる」と感激をあらわにした。
会場のセントーサGCは欧米男女ツアーのトーナメントを開催する世界有数の名コース。
「ここでは飛ばしというより、どこに球を置くかポジショニングが鍵になる。ミスらしいミスもなく、ゴルフが簡単に思えたことが大きな収穫」
昨年メジャー5勝目を挙げた全米プロ連覇に向け、手応えをつかんだようで、「連覇はもちろんしたい。そのためにこの数週間はクロードと一緒にかなりハードな練習をした」。
クロードとはケプカのコーチで名匠ブッチ・ハーモンの息子だ。
「ここでもそうだったけれど、メジャーで勝敗を分けるのはアイアンの精度だと思っている。僕はショットメーカーだからフェアウェイのいいところからなら絶対にピンそば2.5メートル以内に寄せる自信がある。そして2.5メートルのクラッチパットが決まればメジャーで勝てる」とケプカ。
プレッシャーがかかるほど本領を発揮するのは、「リアルにゴルフをしている実感を得られるから。常に勝ちたいと思って戦っている。ベストなプレーヤーとしのぎを削る瞬間が最高に楽しい」。
メジャー5勝のケプカは、強いけれどメジャー無冠の選手との違いを「クラッチパットを決めきれるかどうか」だという。
そんな彼の活力の源は目に入れても痛くないほど溺愛するクリュー君の存在だ。
「彼に優勝する姿を何度でも見せたい」
全米プロでは世界ナンバー1、目下無敵のスコッティ・シェフラーとの対決が待っている。
※週刊ゴルフダイジェスト5月28日号「バック9」より