有識者たちが「ストロングロフトアイアン」を熱く語る!
有識者4人が最新のストロングロフトアイアンの進化を徹底討論。意外と肯定派が多かった?
ゴルフライター 高梨祥明
力感8割で打てるそれが最大の強み
元ゴルフ雑誌副編集長の経験を生かし、メーカーや開発者の取材を独自の視点で行う。クラブをこよなく愛する“クラバー”
クラブフィッター 小倉勇人
打たず嫌いって人の気持ちもわかるんだけどね……
ゴルフ雑誌の編集者を経て、現在は「ゴルフフィールズユニオン」の店長として、ゴルファーに適切なクラブを提供する
クラブアナリスト マーク金井
“飛距離コンテスト”を否定したいんだけど……
ゴルフスタジオ「アナライズ」を主宰。アマチュアのスコアアップに役立つ練習器具やクラブを設計・製作・販売している
クラブデザイナー 松吉宗之
ストロングロフトは“進化の恩恵”を最も体感できる
クラブメーカーから独立して「ジューシー」を立ち上げた。クラブ設計者の視点で、最新ギアに関する分析にも長けている
何を求めるかが重要
「ストロングロフトアイアンは4タイプに分かれます」(松吉)
①ちょいアスリートモデル
②高弾道モデル
③ミスにメチャ強いモデル
④ぶっ飛びモデル
細分化されてきたストロングロフトアイアン。それぞれのモデルを分析してカテゴリー分けを行った。2024年7月号「月刊ゴルフダイジェスト」をチェック!
「8割で打つ感覚を知って肯定派になりました」(高梨)
求めていることはスコア? 飛距離?
高梨 ボクはもともと、マッスルバックのアイアンを使っていました。でも、あることを感じてから、ストロングロフトのアイアンについても肯定派になったんです。
小倉 あることって、なんですか? もしや加齢?(笑)
高梨 いやいや。7Iでイメージする距離をロフトが立った7Iで打ってみたら、ショットの確率が上がったんです。「今まで振り過ぎてたんだ」って気が付きました。そのアイアンで今までのように振れば半番手以上は飛びますが、それをしないことによって、力がうまく抜けて8割の感覚で振れるようになり、アイアンショットが整ってきたんです。ロフトが何度だろうと、ショットの正確性が上がるんだったらそれでいいじゃん、というのが今の感覚です。
ストロングロフトアイアンの始まりは本間ゴルフだった
4人の見解ではロフトを立てたアイアンを作った先駆けは、本間ゴルフの+2だという。「同じ組で回る人よりも短い番手でグリーンを狙えた」という、ゴルファーの見栄を満足させるアイアンだった
金井 イイじゃん、そのことに気が付いたんだ。なんか今は、ゴルフがどんどん違う世界に行ってるというか、率直に言うと「飛距離コンテスト」になっている。そういった意味では最近ストロングロフトアイアンが売れている理由もわかる。
小倉 確かに、飛距離は一番わかりやすいですからね。
金井 ストロングロフトのアイアンを使って「飛距離コンテスト」に入ったら、もう元には戻れない。オレはそれがイヤなんだ。そういう「飛距離コンテスト」に入っていないゴルファーは全体の1パーセントもいないかもしれないけど、世界中でオレ一人になってもそこへ行くつもりはないよ。アイアンを使うのは、距離をコントロールしたいんだから。
ロフト表記の入ったアイアンもあった!
プロギアの「DATA 601」(1994年)のように、番手だけでなくロフトが刻印されたアイアンもあったが今はほぼ記されていない
ノウハウが向上してバリエーションに富む
小倉 そう言われれば、ストロングロフトの“打たず嫌い”もわからなくはありません。私はよく「飛び系アイアンってどういう人に合うんですか? 」と聞かれますが、そのほうが安心して打てたり球が上がりやすかったりして、気持ちよくプレーできたりスコアにつながる人が使えばいいと思います。ただ、お客さんにフィッティングをするとき「飛ばなくなったからストロングロフトのアイアンにしましょう」ということにはあまりなりません。その人にとってどういうモノがいいかが肝心で、ストロングロフトは選択肢の一つであり、結果的にそうなることはあります。
セットといえば10本が当たり前だった
UTの台頭で、中間の番手が5Iから7Iになったのもロフトが立った要因と4人。開発の中心を担うロフト帯は実は昔から一緒なのだ
松吉 マッスルバックやハーフキャビティは、設計の自由度がどうしても限られてしまいます。でも、中空やポケットキャビティのストロングロフトアイアンは、新しい技術を投入しやすい。実際に、ヘッドの内部構造の細かいところには、わりと最近確立された生産技術を取り入れたりすることもあります。異素材をインサートするにしても、以前はもう少しアバウトな作りだったものが、今はパーツの精度が上がったり機械加工ができたりして、キレイに埋め込めるようになっています。そういう意味でも、ストロングロフトのアイアンはかなり進化しているし、ユーザーがそのメリットを感じやすいクラブと言えますね。
ピン「ZING」の打感は雑味がなかった
「ストロングロフトも打感とスピンを追求し始めたけど、アマチュア向けでそれらも妥協しなかった先駆けはジングでしょう」(金井)
高梨 今やストロングロフトアイアンはたくさんありますが、実は同じロフト帯でも細分化されていて、決してひとくくりにはできません。だからこそ「飛べばいい」じゃなくて「自分がどう打ちたいか」を優先すべきでしょう。
クラブフィッター 関根泰宏
ゴルフ5の売れ筋TOP3はこちら!
1位 キャロウェイ Xフォージド スター
2位 ピンゴルフ G430
3位 オノフ AKA
ゴルフ5 リコパ川崎店でクラブフィッターを務める。最新ギアの造詣も深く、ゴルファーに寄り添う接客が得意
「弾道計測器の普及で試打でもデータを可視化できるようになったのが売れている要因だと思います。見た目が良くなったのも大きいですね」
取材・文/新井田聡
写真/三木崇徳、有原裕晶、野村知也、姉﨑正
協力/ゴルフ5 リコパ川崎店
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※ストロングアイアンについての調査はまだまだ続く。実際に打った弾道や距離の違い、オフセンターヒットでの距離感など、続きは月刊ゴルフダイジェスト7月号、またはMyゴルフダイジェストにて掲載中!