「DPワールドツアー大研究」第1回を読む
【川村昌弘】世界中でプレーする“旅人”ゴルファー
「移動はストレスだし大変なことが多いので欧州挑戦はおすすめしません(笑)」
欧州ツアーのコースセッティングは、例えば日本のコースではグリーンを外しても、パーパットを打てないような状況になることはなく、バンカーとかニアサイドに外してもナイスショットが出れば寄るし、奇跡の一撃がなくても3~4mのパーパットは打てますが、欧州ツアーのコースでは、そっちに打っちゃダメだというところにいっちゃうと、1回のアプローチミスでボギーどころかダブルボギーやトリプルボギーがみえるような難しいセッティングだと思います。
欧州ツアーは難しいコースが多いので、ボクはそこで球を打つことに慣れました。たくさん練習しても試合では、1球しか打てないから本当に積み重ねだと思います。シードを取るのに必死だった1年目を経て、2年目はコロナ禍、無観客でシードも持ち越し、日本にも帰れないという状況であまり入れ込み過ぎずにやれたのは自信になりました。そういうのが場慣れというか成長なのかもしれないですね。
いろいろな国を訪れたときも、運転は自分でします。マラガからマドリード、エジンバラからロンドンへもクルマで。コペンハーゲンからミュンヘンまでは橋を通って12時間くらいかかりました。朝食を食べ、ランニングをして午前中はゆっくりし、昼に和食の美味しいお店に出かけ昼食を食べ、近くのゴルフ場を探して「今から回れますかー」って。ヨーロッパでは、日本と比べてゴルフが気軽なのが、すごく好きなところですね。
でも欧州ツアーの移動は大変です。ボクは普段楽しいことしか言わないけど、移動とか絶対ストレスなので欧州挑戦はおすすめしません(笑)。ボクは慣れたし、以前はアジアンツアーに参戦していたので、アジアと日本を行き来して誰よりもハードスケジュールをこなした自信はあります。でもずっと日本ツアーでやっていて、この移動はグッとくるはずです。
最近、日本でバリバリ活躍している選手がこっちに来ています。日本の選手たちが欧州ツアーの環境に慣れて普通にゴルフができれば、今の日本の選手たちは上手いので活躍していることに驚きはないです。ただし、ゴルフ以外のことでグッときちゃうと難しいのかなと思っています。ボクもゴルフが大好きでやっているのでゴルフが好きな選手が来たら純粋に嬉しくて、一緒に楽しくやろうよという感じです。
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「芝も風も日本と違うけどいろいろな国の文化を学べる」
欧州ツアーの選手は技術的にティーショットがすごく上手いイメージです。コースが長くて意外と狭いから、ドライバーの精度が高い。日本なら中断になるような50ヤードくらい戻される“爆風”が吹いたりして、ドライバーで240ヤードくらいしか飛ばなくて最初はびっくりしました。コースセッティングも日本と全然違っていて、地面も硬く芝の1本1本が太いので抵抗が大きく、クラブの入れ方も変えないといけないんです。バンカーも均すときに線をわざと付けるので、ボールが沈んで軽い目玉みたいになることもあり、出すだけになることも多い。気づいたらいつも予選カットライン上。選手の実力が詰まっているんです。でも、だからこそ予選通過すれば上位にいけるチャンスは大きい。
海外でいろいろな国を転戦するのは最初は怖いという感覚もありましたが、今は楽しいですね。世界中のコースを回ることができますし、人や文化とも触れ合えますから。コースから少し歩けばヨーロッパの歴史や文化がすぐそこにある。街並みやお城、美術館などを見ながら歩くのも楽しいです。
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「コースはどこも個性的。日本と違う“重たい風”が多い」
まだ中東と南アフリカとアジアしか行っていませんが、コースはそれぞれ個性的です。芝はバミューダが多いですね。タフなピンポジションのなかで、質の高いショートゲームが求められることも多くて。また、日本と違って“重たい風”も多い。基本的に風がない日がないので、きれいなスウィングをするよりも、ボールをコントロールすることを大事にしています。あまりスウィングにはこだわらずにボールの飛び方やデータにこだわっていきたいと思っています。今後さらに多様な芝のコースに行くので、ウェッジはいろいろなバウンスのものが必要になると思っています。
たくさんスコアを伸ばしても順位は少し上がるくらい。風が吹いてもビッグスコアを出す選手もいるなか、とにかくスコアを伸ばさないといけない試合が多い。でも、トップ選手でも予選落ちはしますが、意外とみんなそんなに落ち込んでいないです。すごく切り替えが早いなと感じます。選手ラウンジでの過ごし方などを見て、意外とすっきりしていて、試合はたくさんあるから、「また次」という雰囲気なんです。
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PHOTO/Hiroaki Arihara、Blue Sky Photos、 Getty Images