日本人続々優勝! いま欧州が熱い
ここ8カ月で日本人選手が4人優勝
昨年の久常涼の優勝から約8カ月間で日本人選手が4人も勝利を挙げているDPワールドツアーへの注目度が上がっている。11月のオーストラリアPGA選手権を皮切りに全44試合を25カ国で開催。アフリカやアジア、中東、オセアニアと世界中を転戦する “真の世界ツアー”なのだ。
【25カ国で開催! 】DPワールドツアーは“真の世界ツアー”だ
●日米欧のツアー比較(2024)
DPワールドツアーは、賞金総額こそPGAツアーの1/3ほどだが、欧州だけでなくアジアやオセアニア、中東、アフリカと世界25カ国で開催されており、まさに“世界ツアー”と呼ぶに相応しく、参加選手の国籍も多種多様だ。
実は、最近までDPワールドツアーで優勝した日本人選手は1978年コルゲートワールドマッチプレーを制した青木功と2016年にWGC–HSBCチャンピオンズで優勝した松山英樹しかいなかった。しかし、ここ最近の日本人選手の活躍は目覚ましい。国内男子ツアーの試合数が減り、若い世代の選手たちが活躍の場を求めて世界へ目を向けている、というのも背景の1つだが、さらに、22年にDPワールドツアーの前会長のキース・ペリーが日本の賞金ランキング上位3位までに翌年のDPワールドツアーの出場権を与えるというJGTOとの提携を発表した。
【今年から始まった新システム】ツアーの日程は7つに分割
試合日程はフェーズとスウィングに分けられる。各スウィング毎のポイントランクトップの選手は20万ドルのボーナスを獲得する。さらにグローバルスウィング終了時の上位10名の選手へは100万ドルの賞金が分配され、バックナインの試合への出場権も得る。バックナインにはフェデックスランキング上位70名の選手も出場できる。バックナイン終了時のポイントランク上位70名はプレーオフへの出場権を獲得し、最終戦「DPワールドツアーチャンピオンシップ」には上位50名が出場できる。
日本の賞金王にはカテゴリー17の出場権が付与され、2位と3位には賞金王より優先順位の低いカテゴリー18が与えられるため、DPワールドツアーに参戦する日本人選手が増えたのだ。22年賞金ランク2位の星野陸也はカテゴリー18の資格で23年シーズンのDPワールドツアーに臨み、24年のシード権を獲得。23年賞金ランクトップの中島啓太はこのカテゴリー17の資格で24年シーズンのDPワールドツアーへ参戦し、両者とも今年1勝を挙げた。さらに、DPワールドツアーとPGAツアーとの提携で、すでにPGAツアーメンバーになっている選手を除いたポイントランク上位10名は翌年のPGAツアーに出場できる。この資格によって今年から久常涼は米ツアーへ参戦中だ。
数年前までは欧州ツアーはPGAツアーとともに「2大ツアー」と呼ばれており、世界ランキングでも“同格”の扱いで、獲得できるポイントもそれほど大きな差はなかった。しかし、一昨年8月に世界ランキングのミニマムポイントが廃止されたので、現在はPGAツアーに比べて優勝者の獲得ポイントが約半分になってしまっている。それでもコーンフェリーツアーに比べると賞金総額は約7倍、獲得ポイントも約2倍なので、PGAツアーへのルートとしてDPワールドツアーを選ぶ日本人選手が増えているのだ。
DPワールドツアーを知る3つのトピックス
【トピック①】
「DPワールド」ってどんな会社なの?
22年にDPワールドツアーの公式タイトルパートナーとなった「DPワールド」は、アラブ首長国連邦の港湾会社。1972年にドバイのポートラシッド港で発足した。全大陸、69カ国以上もの物流を展開する世界的大手物流プロバイダーだ。
【トピック②】
前会長のK・ペリーがグローバルスウィング
欧州ツアーを変えた!
2015年に会長に就任したキース・ペリーは次々と改革案を実行。選手の登場曲を会場で流したり、6ホールのトーナメント、男女混合大会の実施など、若者や新規ゴルフファンの獲得に貢献。PGAツアーや日本男子ツアーとの提携も実現したが、LIVとの統合問題の決着を待たずに今年1月、退任した。
【トピック③】
PGAツアーの“2部化”が進んでいる!?
2013年にQTからのPGAツアーへの道が閉ざされ、PGAツアーの出場権を得るにはコーンフェリーで1年間戦うことが必要になり、欧州ツアーからPGAツアーへのルートを探る米国選手が現れた。B・ケプカもそのひとりで2012 年に欧州下部ツアーに参戦、2013年に欧州ツアーへ昇格し、2014年にPGAのツアーカードを獲得した。
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川村昌弘、星野陸也、中島啓太に聞いたDPワールドツアーの印象は明日公開予定です!
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PHOTO/Hiroaki Arihara、Blue Sky Photos、 Getty Images