その前に同選手権の歴史をたどろう。創設は2009年。アジアパシフィックの男子アマチュアゴルファー1位を決めようという趣旨で始まった。アジア太平洋各国42のゴルフ団体で構成するAPGC(アジア太平洋ゴルフ連盟)、アジアのゴルフ普及に関心を持つR&A、マスターズトーナメントの3団体による主催ということもあり、優勝者は次の年の全英オープン、マスターズへの出場権が与えられる。
開催コースは各国持ち回りで、第1回は中国・ミッションヒルズGC、日本はその翌年に霞ヶ関CCで開催。回を重ねて(20年はコロナ禍のため中止)14年目に日本に帰ってきたわけだが、同御殿場Cに決まった経緯は後述する。同選手権は世界のトッププロへの登竜門とされ、豪州のキャメロン・スミス、台湾のパン・チェンツェン、韓国はイ・キョンフンを輩出している。
日本人選手は松山英樹が10年と11年に連覇、金谷拓実(18年)、中島啓太(21年)も制覇しており、松山はマスターズに勝利してメジャーウィナーになったのはご承知の通り。
「優勝者は世界で活躍していますし、全英オープンやマスターズに招待される権威ある大会にもかかわらず、日本ではそれほど知られていません。ならばもっとその名を広げたいと思って手を挙げさせていただいたわけです」(同御殿場C広報・西島太一氏)
とはいえ選考過程では様々なことがあったという。
「前回に日本の会場となった霞ヶ関CCは、カナダカップなど国際的にも知られているし、今回も名門と名高い廣野GCが真っ先に候補に挙がっていたようです。しかし廣野GCが決定的に不利だったのは、周辺に国際的ホテルなど、主催団体からの賓客の宿泊施設がなかったからと聞いています」(事情通)
そう言われてみると、同御殿場Cは「富士スピードウェイホテル」、御殿場アウトレット内の「ホテルクラッド」、さらには外国富裕層が好む部屋内温泉付きの高級旅館がある箱根も近く、この差も大きかったのだろう。
同御殿場Cは18年には、全米オープンコースをリニューアルして“オープンドクター”と称されるリース・ジョーンズ氏を招聘し、バージョンアップを遂げている。猛暑の夏を乗り切るためのコースのコンデション作りにも力を注いだという。
10月3日のティーオフをコースは待っている。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年10月15日号「バック9」より