米オレゴン州ポートランドにある公営パブリックコース「イーストモアランドGC」の13番パー5は、フェアウェイを二分する谷を持つ名物ホールとして知られるが、この谷の斜面がとにかくきつく重機を入れるのが難しいうえ、住宅地が隣接していることもあり、除草剤を使用することができずにいた。
そういった理由から雑草が伸び放題だったというが、7月にUSGAのコース管理のコンサルタントがやってきた際に相談してみたところ、ヤギを使うアイデアが浮上したという。
「10頭のヤギと1頭のラマは私の予想を超えて可愛いうえに旺盛な食欲で、すべての雑草を食べてくれている。しかもラマは少し前までたびたび姿を見せていたコヨーテを追い払ってもくれた。彼らが働くのを見ていると楽しい気分になります」と同ゴルフ場の5つのコースを管理するポートランドパークス&レクリエーションのグリーンキーパーのトップであるジョン・ボール氏は語る。
また同ゴルフディレクターのビンセント・ジョンソン氏は、「人々に笑顔をもたらすばかりでなく、彼らの仕事は効率的でエコフレンドリーだ。これはポートランドパークスの理想と実践を兼ね備えている」と同市の広報で絶賛している。
もっとも、ラマとヤギたちはヤギをレンタルするゴー・ゴート・オレゴン社からの"借り物"。先の9月21日からレンタルを始めたというが、成果が出るかどうかはヤギの食欲次第だとか。
とはいえヤギを飼い続けることは難しいが、レンタルであれば精神的な負担も少ない。もし日本にもこんな会社があれば、利用するゴルフコースは結構増えるかもしれない。
同コースは地元で人気が高いことで知られるが、市税は投入されず独立採算で運営されていることから、さらにヤギを増やすかどうかは今後の効果次第だそう。
動物の癒やしが谷越えの恐怖を和らげてくれるという意味では、ぜひ続けてほしいが……。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年10月15日号「バック9」より