今回取材したのは…
1962年に始まったシニアでは日本最古のトーナメント、日本プロゴルフシニア選手権。63回目を迎えた今年は円谷フィールズホールディングスが特別協賛になり、茨城県のイーグルポイントGCで開催された。
自分好みのクラブを長く使用するプロたち
毎年のように新しいクラブが発表されるが、同じクラブを長年愛用し、もはや変えることのできない相棒にまで育てた選手たちを紹介しよう。
「流れはレギュラー時代と同じ」1998年発売の7番ウッドはシャフトも当時のまま!
真板潔 64歳
レギュラーツアー1勝、シニアツアー6勝。7回目のプロテストで合格。90年から15年間レギュラーツアーのシード維持。ショートゲームの上手さに定評がある。
「クラブの流れはレギュラーツアーの頃から変わっていません。僕は丸いUTが使えなくて、アイアン型UTを入れて、7番ウッドはずっと同じモデル。シャフトも当時のままなので、正直へたってきていて、飛び方もその時々で変わる(笑)。ドライバーはシャフトを軽くしましたが、軽くなるとタイミングが合わなくなる。慣れれば使えるんだけど、年齢を重ねると振る回数が少なくなるのでそれも難しい。今使っているシャフトもタイミングが合ったから替えました」
ドライバーは10年落ちの「グローレ F」、ウェッジのソールは自分で削る
「ドライバーはシニアに入って2年目からずっと同じ。シャフトは軽いものにしました。あと昔のゴルファーなので、アイアンやウェッジはグースが絶対。アイアンはショップで見つけて買いました。ウェッジは自分で曲げてグースやロフトを調整。ソールも微妙だったので、自分好みに自分で削ったものです」
「ヘッドはかつてのまま」シャフトを取り替えて現代のスペックにアジャスト
佐藤えいち 53歳
ツアー未勝利。下部ツアーなどでは優勝経験有。07年全英オープンに出場。同年の国内ツアーでは、300.22ヤードでドライビングディスタンス賞獲得。
「一番新しいクラブがUT(タイトリスト『TSR2』、2022年発売)で、そのほかは結構長く使っているもの。スプーンは17年くらい使っています。その間に球が年々硬くなったり、変化しているので、シャフトだけ新しくして対応しています。アイアン(アキラプロダクツ『PROTOTYPE KS-
201』、2011年発売)のロフトは寝かしてシャフトも短くしているので、若い子と比べたら2番手くらい違う。UTの下はロフト間隔が開いているのですが、長いクラブは『軽く打って飛べばいい』くらい。年を取って練習量が圧倒的に少なくなったのでいろいろ変えると頭が混乱してしまう。それより自分の感覚の距離が打てるほうが断然やさしいんです」
アキラプロダクツPROTOTYPE H-309(2017年発売、9.0度)×グラファイトデザインツアーAD BB(6X)
SYBVESPO FC-614(2007年発売、#3)×グラファイトデザインツアーAD IZ-7(X)
昨年シニアデビューしたばかり軽いシャフトをテスト中ロフトピッチは変えない
山下和宏 50歳
ツアー未勝利。レギュラーツアーでは2008年に初シードを獲得。17年まで10年連続で維持した。50歳になった昨年秋からシニアツアーに出場している。
「昨年シニア入りしたばかりなので、まだほとんど替えていません。だけど、もっとラクに振れるように軽いシャフトを使いたいな、とは常々思っています。ただ、軽いシャフトにすると、どうしてもタイミングがつかめなくて、今はまだ使えない状況です。結構前のクラブを使っていますが、替える必要を感じない。あと、これまでアイアンも替えてきましたが、ロフトだけはずっと一緒です。飛びすぎるのも嫌だし、距離感が合わなくなってしまうんです」
最新クラブを使っても、また元に戻る
「FWは最新のものもしばらく使っていましたが、使い慣れた『M4』に戻ってしまいました。自分のイメージした球筋に合うのが大事なのですが、なかなか見つからないんです」
「クラブに合わせたくない」20年間使うシャフトが基準同じ感覚で振れるように調整
すし石垣 50歳
ツアー未勝利。プロテスト合格前から米ミニツアーやアジアンツアーに参戦。下部ツアー2勝。2005年にドライビングディスタンス4位に入るなどハードヒッター。
「レギュラー時代から、基本的に替えていません。ヘッドは替えますが、20年間FSPの同じシャフト。中身はずっと同じですが、コスメは変わっています。ただコスメが変わるだけで振り感が変わることもある。ヘッドやシャフトを替えて、同じように重さやバランスを合わせて作っても、同じにはならない。クラブに合わせて打つこともできるけど、自分のスウィングを変えたくない。自分が気持ちよく使えるクラブを崩さないことが重要で、僕の場合、基準がシャフトなんです」
アイアンは2003年発売のMP37
「アイアンは全部同じ感覚で振れるように、重さやバランスを調整しています。UTとか簡単なクラブはありますが、僕は使えない。いまだにアイアンは3番からです」
PHOTO/ Hiroyuki Okazawa、Tadashi Anezaki
THANKS/日本プロゴルフシニア選手権大会TSUBURAYA FIELDSHOLDINGS ULTRAMAN CUP
2024年11月5日号の「週刊ゴルフダイジェスト」には桑原克典プロや手嶋多一プロなどのシニアプロのセッティングも紹介している。続きが気になる方は本誌か、Myゴルフダイジェストでチェックしよう。