初優勝からメジャー2勝を含む8勝を挙げ、年間女王にまで上り詰めた竹田麗央選手。優勝8回、トップ10フィニッシュは圧巻の21回、平均ストロークは山下美夢有選手の69.2215に次いで69.2624で2位と大躍進の成績を残す竹田選手。今季躍進した理由の一つは「アプローチの上達」とのコメントもありましたが、ここではパッティングについて取り上げてみます。
毎週全国各地で開催される女子ツアーにおいて、その週のグリーンのコンディションに合わせること、つまりグリーンスピードだけでなく傾斜による曲がり幅、上り下りの距離感などを初日のスタート前までにどれだけグリーンのクセや転がりをつかめるかが上位進出のカギとなります。
竹田選手の練習を見ていると、パット用の練習器具は一切使いません。例えばストロークのお手本が描かれたマットや一本のレールの上を通すようなプレートなども使用していません。そのことを聞くと「今はまだ使わなくていいかな、と思っています」と答えます。

思ったところに出球を出すこと、たくさん練習してその週のグリーンの特徴をインプットする
もちろん小祝さくら選手や岩井姉妹など練習器具は使わない選手も大勢存在します。今年のダイキンオーキッドレディスから全試合、練習日から最終日までを現場にいて感じたことは、練習器具を使う選手はストローク重視で、使わない選手はボールの転がり重視といった違いがあるように感じます。
練習グリーンでの竹田選手は、とにかくたくさんボールを転がしています。様々な距離やラインのパッティングを打ち続けていますが「たくさん練習することで、その週のグリーンの転がり方や曲がり幅をつかむようにしています」と教えてくれました。パッティングもイメージを持つことが大切ですが、そのイメージを作るためには練習グリーンでたくさんボールを転がすことが重要なインプットになっているのでしょう。

ロングパットは「転がるスピードをイメージして“転がす”」
もう一つ、パッティングでボールは転がす感覚なのか打つ感覚なのか聞いてみると「ロングパットは(ボールの転がる)スピードをイメージして転がすイメージですが、ショートパットはしっかりヒットするようにしています」とのこと。

「ショートパットはしっかりヒット」するように意識している
ロングパットほど「打つ」イメージが強くなると大オーバーしたり、逆に打てなくなり大ショートになることに心当たりありませんか。竹田選手の言うように「ロングパットはスピードをイメージして転がす」ように意識してみる価値は大いにあるでしょう。
そして練習中の意識は「思ったところに出球が出るように練習します」という言葉から「ショートパットはしっかりヒット」することにつながります。カップ周辺はすべてのプレーヤーが踏む場所でもあるので、最終組に近くなると少なからず芝の影響もあることでしょう。
「思ったところに出球を出しながらしっかりヒットする」練習こそバーディを奪い、グリーンを外してもパーをセーブするパッティングの秘訣のようです。
「TOTOジャパンクラシック」の優勝で来年は米女子ツアーに参戦することを表明していますので、国内で見られるのはJLPGAの残り2戦と3ツアーズのみということになりそうです。今週も注目していきましょう。
写真/中村修