大きい顔はアドレスでの安心感を生む
ここからは実測データをもとに凄腕シングルでもある松尾氏にクラブ分析と試打レポートをしてもらいます。試打および計測ヘッドは10.5度、シャフトは「Diamana BLUE TM50」(フレックスS)です。掲載数値はすべて実測値となります。
深、長重心で打点ブレにさらに強くなった
クラブ長さが45.13インチと標準的で、クラブ重量が299.1グラムとこちらも標準的ですが、スウィングウェイトがC9.8とやや小さめに抑えられているので、クラブの振りやすさの目安となるクラブ全体の慣性モーメントが287万g・㎠となっています。計測数値のみで推察するとドライバーのヘッドスピードが43m/sくらいのゴルファーにとってタイミング良く振りやすくなっています。
ヘッドは青色から黒色に変わったフェースが目に入り、輪郭形状は『Qi10』よりもヘッドの横幅がさらに広くなっています。標準モデルでも従来の縦長形状とは違った日本モデル的な「丸型形状」になっているのが大きな特徴です。

左から『Qi10』、『Qi35』。今モデルは丸顔になり、従来の縦長形状ではなくなった
実際に試打したところ、アドレスでは『Qi10』のようなオープンフェースではなくスクエアフェース設定になり、少しフェースがかぶったように感じます。ライ角は兄弟モデルの『Qi35 MAX』よりもフラットで、ボールをつかまえ過ぎないイメージが出ています。またヘッドの後方が低いシャローバック形状で、インパクトでアッパーにスウィングしやすいイメージが出ています。
試打シャフトは軟らかめの設定なのでヘッドスピードが40m/sくらいのゴルファーでも十分扱えそうです。『Qi10』よりもクラブが軽く、少し短く、かつスウィングウェイトも小さくなっているので、少し振りやすくなっているのも特徴です。
重心設計を見ると『Qi10』と同様にヘッドの重心距離が長く、重心深度が深いので大慣性モーメントヘッドを狙った設計は継続されています。そして、少しトウ寄り重心設定(スイートスポット位置も少しトウ寄り)になって、軽いフェードバイアスヘッドになっています。
ヘッドの操作性を判断できるネック軸回りの慣性モーメントが大きいので、ダウンスウィングでヘッドの返りが緩やかになっています。この特徴を生かしながら、オートマチックに高弾道で少しフェード系に打ちやすくなっています。
『Qi10』よりも少しスイートスポットの高さが低くなっていますが、「LS」のような低スピンヘッドではないので、適度なバックスピンが入り弾道は安定しています。フェースの反発性能は『Qi10』と同程度でした。
※週刊ゴルフダイジェスト2025年3月11日号「ヘッドデータは嘘つかない!」より