今シーズン、5月末のリゾートトラストレディスまでに飛距離計測が行われたのは11試合で、その計測で上位に入った8選手のドライバーとスペックを調査する本企画。パート3は、櫻井心那、葭葉ルミ、泉田琴菜、新旧飛ばし屋のドライバー。調査はリゾートトラストレディス練習日に行った。
画像: 泉田琴菜、櫻井心那、葭葉ルミ

泉田琴菜、櫻井心那、葭葉ルミ

櫻井心那、今季最長300ヤード。
スリクソン ZX5 MkⅡ LS×ディアマナGT

昨年のステップ・アップ・ツアーで5勝を挙げて賞金女王に輝いた19歳の櫻井心那。開幕直後こそ2戦連続予選落ちするなど苦戦したが、「レギュラーのコースセッティングや雰囲気にも慣れてきた」と本人が話すように、それ以降は飛距離を武器に順調に結果を残し始めている。

画像: スリクソン ZX5 MkⅡ LS×ディアマナGT(60S)。ロフト9度(8.5+0.5)、45.25インチ、308グラム、バランスはD2

スリクソン ZX5 MkⅡ LS×ディアマナGT(60S)。ロフト9度(8.5+0.5)、45.25インチ、308グラム、バランスはD2

今シーズン、スリクソンZX5 MkⅡ LSドライバーを使用しているが、実はテスト段階では、見た目的にはスリクソンZX7 MkⅡを気に入っていた。

しかし、テストを繰り返しながらデータを集めていくうちにZX5 MkⅡ LSのほうが低スピンで、好みの強い弾道が出ていたことから、このモデルを選択したという。

やさしさと低スピンの飛距離。松山英樹と同じモデル

このヘッドに、手元側がしっかりした叩けるシャフトとして評判のディアマナGTを組んでいる。

画像: 櫻井心那(19)。今季最長300ヤード(フジサンケイレディス初日)、平均253.1ヤード(7位)。バンテリンレディス、三井松島レディス5位タイ。昨季ステップ5勝、レギュラーでも旋風を起こせるか

櫻井心那(19)。今季最長300ヤード(フジサンケイレディス初日)、平均253.1ヤード(7位)。バンテリンレディス、三井松島レディス5位タイ。昨季ステップ5勝、レギュラーでも旋風を起こせるか

「高すぎる弾道を嫌うため、中弾道で低スピンになるように調整しています。シャフトはしなりが少なく、叩いていけるものが好みで、自分でコントロールしていきたいタイプ。また、0.5度ほどライ角をフラットにして、つかまりがいいなかでも左に行かないようにしています」(ダンロップ・ツアー担当者)

葭葉ルミ、今季最長303ヤード。
ベレスPROTO-D×ヴィザード MP

画像: ホンマゴルフ ベレスPROTO-D×本間ゴルフ ヴィザード MP(5S)。ロフト9度、45.25インチ、305グラム、バランスはD0

ホンマゴルフ ベレスPROTO-D×本間ゴルフ ヴィザード MP(5S)。ロフト9度、45.25インチ、305グラム、バランスはD0

本間ゴルフとの契約3年目になる今季は、開幕戦から未発表の新ドライバーを投入した葭葉。本人は「とにかく低スピンを追い求めていて、テスト段階からこれが一番数値がよかった」と実戦投入を決意した。

ソール側は「TW757 D」に似ており、ネック部分にはシャフトを脱着・回転することなく、ライ角やロフト角、フェースアングルの無段階調整が可能な「NON-ROTATING SYSTEM」が搭載され、葭葉はライ角を少しフラットに設定している。

とにかく低スピンを追い求めて、たどり着いた一本

クラウンは「ベレスNX」と同じ格子状凹凸構造の「ソリッドカーボンクラウン」が採用されているようで、「TW757」と「ベレスNX」のいいとこ取りをしたようなドライバーだ。

本間ゴルフのツアー担当者によると、「オフに数種類のモデルをテストして、初速や打ち出しの高さ、スピン量、キャリー、トータルディスタンスまで細かくチェックして選んだドライバーです」

画像: 葭葉ルミ(30)。今季最長は303ヤード(パナソニックレディース2日目)。平均252.3ヤード(8位)。安定した飛距離を武器にシード復帰を狙う

葭葉ルミ(30)。今季最長は303ヤード(パナソニックレディース2日目)。平均252.3ヤード(8位)。安定した飛距離を武器にシード復帰を狙う

シャフトはしっかりめの中調子をチョイス。長さは昨年の45.75インチから、0.5インチ短くしており、その分、昨年の平均より飛距離が落ちているが、フェアウェイキープ率はやや上昇している。

泉田琴菜、今季最長300ヤード。
ステルス グローレ プラス×ツアーAD IZ

画像: ステルス グローレ プラス×ツアーAD IZ(5S)。ロフト9.5度(10.5 - 1)、45.5インチ、ライ角59.5度

ステルス グローレ プラス×ツアーAD IZ(5S)。ロフト9.5度(10.5 - 1)、45.5インチ、ライ角59.5度

高校時代からアメリカのIMGアカデミーにゴルフ留学。3回目の受験となった2021年度プロテストで合格。

昨年はQT134位から14試合に出場。試合数が少ないためランキングにはランクインしていないが、計測された平均飛距離だけを比べると、トップ10に入る記録を残していた。今シーズンはQT18位の資格で開幕戦から出場している。

泉田のドライバーについてテーラーメイドのツアー担当者は「飛距離の出る選手ですが、基本的にスピン量が少ないタイプなので、計測器のデータを見ながら各モデルをテストしていき、『ステルス グローレ プラス』が今の彼女には合っていました」。

やさしくつかまるヘッドで、ロフトを1度立てて使用

画像: 泉田琴菜(23)。今季最長300ヤード(フジサンケイレディス初日)、平均250.6ヤード。米国では大西魁斗の1年後輩、バイオメカ視点から仕上げた完成度の高いスウィング。ブリヂストンレディス15位タイ

泉田琴菜(23)。今季最長300ヤード(フジサンケイレディス初日)、平均250.6ヤード。米国では大西魁斗の1年後輩、バイオメカ視点から仕上げた完成度の高いスウィング。ブリヂストンレディス15位タイ

ヘッドは10.5度モデルのロフトを9.5度に1度立て、ライ角は市販モデルより1.5度ほどフラットに。そこに中調子でタイミングが取りやすい「ツアーAD IZ」を組み合わせた。

本人もいろいろと試しているようだが、「カチャカチャの設定を変えてみるんですが、結局元の位置が一番よくて、何をやっても戻ってしまうんです」(泉田)

櫻井、葭葉、泉田、3選手のドライバーまとめ

櫻井心那と葭葉ルミは、スピン量が減らせるヘッドを選び、高弾道のシャフトを装着。元々スピン量が足りない泉田琴菜は、スピン量が確保できるつかまりのよいヘッドをチョイスしている。どのヘッドも初速性能は高いので、そこからはどこまで最適なスピン量に近づけるかが勝負。それが250ヤード超えの飛距離につながっているようだ。

もう1点、注目は、3人ともネックの調整機能を活用してカスタマイズしている点。葭葉はライ角をフラットに調整、櫻井と泉田はロフト(&ライ角)を変更している。ネックのカチャカチャ機能は弾道調整だけでなく、構えた時の顔も微妙に変化する。自分好みの顔に近づけることも、飛距離アップには欠かせないポイントだ。

※週刊ゴルフダイジェスト2023年6月20日号より(PHOTO/Shinji Osawa、Tadashi Anezaki、Hiroyuki Okazawa、THANKS/リゾートトラストレディス)

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